『アメリカン・フィクション』あらすじと解説(ネタバレあり)「差別をやめよう」ということがもやは差別なのではないか?

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『ウォッチメン』『グッド・プレイス』など、ドラマの脚本家として活躍してきたコード・ジェファーソンが、パーシバル・エベレットの小説を原作に初メガホンをとった監督デビュー作。

カナダのトロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞して注目を集め、第96回アカデミー賞でも作品賞ほか5部門にノミネート。

ダニエル・クレイグ版『007』シリーズのフェリックス・ライター役などで知られるジェフリー・ライトが主演を務め、アカデミー主演男優賞にノミネート。

共演のスターリング・K・ブラウンも助演男優賞にノミネートされている。

日本での劇場公開はなく、Amazon Prime Videoで独占配信中。

Amazon Prime Video『アメリカン・フィクション』 


『アメリカン・フィクション』作品概要

公開日(日本)Amazon Prime Videoで2024年2月27日から独占配信

監督:コード・ジェファーソン

キャスト
セロニアス・”モンク”・エリソン(ジェフリー・ライト)
リサ(トレーシー・エリス・ロス)
コラライン(エリカ・アレクサンダー)
アグネス(レスリー・アガムズ)
クリフ(スターリング・K・ブラウン)
ロレイン(マイラ・ルクレシア・テイラー)
アーサー(ジョン・オーティス)
シンタラ(イッサ・レイ)
ワイリー(アダム・ブロディ)

Amazon Prime Video『アメリカン・フィクション』 

『アメリカン・フィクション』あらすじと解説

黒人作家であり、大学で文学を教える”モンク”は、小説の中に出てくる黒人差別用語を言ったばかりに大学をクビになってしまう。

満を持して書き上げた新作小説は、黒人がアイスキュロスの二次創作をやる意味が分からないと没にされてしまう。

過去の文学を批評するために、その文学に出てくる差別用語を使っただけでモンクは批判の的になってしまう。黒人のモンクが黒人の差別用語を使ったところで問題はないし、その言葉を避けては文学の批評はできない。

さらにそれを批判するのは白人の女の子だ。世の中は差別に敏感になりすぎているし、モンクは「黒人は弱者だから守られるべき対象」という見方をされるのに嫌気がさしている。

一方で女性黒人作家”シンタラ・ゴールデン”は、いい大学を出ながらも『ゲットーに生きて』という実体験をもとに黒人の生きづらさを書いた小説が「リアリティ」があると共感を呼びベストセラーになっている。

モンクは自分自身がインテリなので、黒人が弱者で差別の対象であるという見方をされることに嫌気がさしているが、タクシーを拾おうとしても止まってくれなかったり、妹の病院に入るときに必要以上に金属探知機を当てられたりと、まだまだ差別は存在するということが描かれている。

しかしモンクはそのことから目を背けようとしている。

結局のところ【黒人=差別してはいけない弱者】もしくは【黒人=差別の対象】という2つの見方しかされていないという痛烈な皮肉だ。

モンクは久しぶりに実家に帰るも、母親はアルツハイマーになってしまい、介護施設に入れる必要が出てくる。

施設の値段は高く、中絶医をしている妹の”リサ”が頼りだが、リサは突然倒れ死んでしまう。

弟の”クリフ”は一度は結婚するも男と浮気していることがバレ離婚していて、それ以来自由奔放に生きていて頼りにならない。

ステレオタイプの黒人に嫌気がさしているモンクだが、実の弟であるクリフは父親が拳銃自殺していて、ゲイとして恋人を作り、ドラッグに溺れて自由奔放に生きている。

まさに世間が求めるような「リアリティのある生き方」をしているあたりが皮肉めいている。

モンクはやけになり、作家名を変え、これでもかというほどバカバカしいステレオタイプの黒人が登場する小説をでっちあげる。

モンクが使う“スタッグ・R・リー”というのは実在した黒人の名前だ。

ブルーハーツのマーシーがソロで歌う「アンダルシアに憧れて」の歌詞に出てくるスタッガー・リーのことで、1985年バーで彼のハットをひったくろうとした男を射殺したという恐ろしい男だ。モンクは世間が求める黒人像がまさにスタッガー・リーだろうと考えたのだ。

モンクも代理人も(アメリカでは作家と出版社の間に代理人が入るのが一般的)さすがに冗談に気づくだろうと面白半分で出版社にその小説を送るとなんと大ウケしてしまう。

モンクは出版社の”ポーラ”と電話で話すことになるが、実体験に基づいた話だと嘘をつき、自分は犯罪者で警察に追われている身だと話を誇張してしまう。

話しはとんとん拍子に進み映画化の話まで舞い込んでしまう。

モンクはこんなバカげた小説で注目浴びるのは避けたいと、タイトルを『FUCK』にしないと出版を許さないと、出版社を困らせようとするが、逆に刺激的だとどんどん話題になっていってしまう。

皮肉なことにモンクはその小説の契約金で、母親を施設に入れることが出来る。

母親が施設に入るときに、モンクが母親の家から持ってきた絵を壁に掛けようとしますが、母親は「その絵は嫌い」と言いモンクを困らせます。

この絵はヘンリー・アルバート・ボトキンによる絵で、ボトキンは黒人をロマンチックに描いた画家として知られいます。

黒人をわざわざロマンチックに描くという行為は、そもそも黒人のロマンチックさにはボトキンが描くまで誰も見向きもしなかったということの裏返しです。黒人をロマンチックに描こうという行為も、その絵を見て「黒人もロマンチックで素晴らしいじゃないか」と評価する行為も、そもそも黒人を見下していないとできません。

この絵はモンクが嫌気がさしている「黒人の差別はやめてもっとスポットライトを当てよう」という世間の声にリンクしていると考えられます。

そんな中モンクは隣人のコララインと仲良くなる。コララインは黒人の弁護士でモンクの小説のファンだ。

そんなコララインが『FUCK』を読んで、それなりに気に入っていることを知ったモンクは絶望し、口論になり破局してしまう。

モンクの元へ文学賞の審査員の話が舞い込む。黒人が審査員にいたほうが公平性が取れるという理由で審査員にはシンタラも参加している。

しかし『FUCK』がその文学賞にノミネートしてしまい、黒人のモンクとシンタラが反対しながらも『FUCK』は賞を受賞してしまう。

モンクが悩みながらも部屋に戻るときに映る写真はゴードン・パークスによって撮られた「DollTest」

アメリカのアフリカ系・アメリカ人の夫妻、クラーク夫妻により行われた実験で、黒人の子供に白い肌の人形と黒い肌の人形のどちらが好きか?と選ばせるもの。

差別を受け劣等感がある黒人の子供のほとんどが白い人形を選び、黒人の差別がいかに非人道的かということを説いた実験だ。

モンクは現代社会では黒人は「劣等感」から解放されたと考えていたが、『FUCK』が評価されることで逆に世間はその劣等感から解放させてくれないのだ。

さらにこのシーンは世間に対しての「DollTest」とも言える。

白人が書いた小説と黒人が書いた小説のどちらが優れているか?

世間はこれまで虐げられてきたからこそ、黒人の文学が素晴らしいというフィルターがかかった状態でしか評価ができない。文学の本質には興味がないのだ。

授賞式でモンクは『FUCK』は自分が書いたのだとスピーチする。

しかし場面は変わり、映画化を打診してきた白人監督が「そのラストはないだろ?」とモンクに詰め寄る。

モンクは「ではラストを変える」と言う。『FUCK』が受賞した後、モンクは会場から飛び出しコララインの家へと向かい仲直りをするというものだ。

しかしこの内容も監督は気に入らない。実際のコララインはモンクの電話には一切出ない。

それではと、モンクは自分が授賞式でスピーチするために登壇すると待ち構えていたFBIに撃ち殺されてしまうというアイデアを披露する。

この内容を監督は大いに気に入るのだった。

モンクの人生の物語なのだから、モンクの好きなようにさせてほしいと思うが、結局頭の悪そうな白人監督に搾取されてしまうというなんとも皮肉めいたオチ。

さらに雑用係としてこき使われているのはアジア人。結局のところ、黒人やアジア人はまだまだ搾取される側にあるのだというラストだ。

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