
(C)2024 – EX NIHILO – FRANCE 3 CINEMA – AUVERGNE RHONE ALPES CINEMA
公開日(日本):2025年10月10日
監督:ルイーズ・クルボワジエ
脚本:ルイーズ・クルボワジエ /テオ・アバディ
キャスト:
トトンヌ(クレマン・ファボー)
クレール(ルナ・ガレ)
ジャン=イヴ(マティス・ベルナール)
フランシス(ディミトリ・ボードリ)
マリー=リーズ(マイウェン・バルテレミ)
シリル(アルマン・サンセ・リシャール)
シリル(リュカ・マリリエ)
ナディーヌ(イザベル・クラジョー)
ネタバレを含む内容となります。ご注意ください!
ルイーズ・クルヴォワジエ監督による初の長編映画『ホーリー・カウ』は、監督の故郷であるフランス・ジュラ地方を舞台に、自然の豊かさとそこで生きる人々のリアルな葛藤を描いた作品です。
驚くべきは、この映画に出演しているのがすべて地元に暮らす素人俳優であること。長編初監督ということに加え、素人俳優と聞くと「ご愛嬌」の部分が多くありそうだと想像する人も多いかもしれないけど、彼らの表情、身体の動き、言葉の節々には圧倒的な“生活の真実味”が宿っています。
長編初監督とは思えないほどの完成度を誇る1本です。
父を亡くした少年トトンヌの奮闘
主人公トトンヌは18歳。友人と酒を飲み喧嘩をし、遊びに明け暮れる日々を送っているが、突然チーズ職人の父が亡くなり、幼い妹と二人きりの生活を余儀なくされてしまう。
生活のため、彼は地元名産の【コンテチーズ】のコンテストに挑戦しようと決意する。
金賞はなんと3万ユーロ。銀賞でも2万ユーロと多額な賞金が出るため、トトンヌは軽い気持ちでチーズ作りに足を踏み入れる。
ジュラ地方では、このコンテチーズが地域の誇りで、厳しい条件のもとで酪農家や職人たちが力を合わせて作り上げる伝統の味だ。
トトンヌは酪農家のマリー=リーズと関係を持っている間に友人達に牛乳を盗ませるなど、周りを巻き込みながらチーズ作りに奮闘してきます。
素人俳優が生み出す“リアリティ”の説得力
本作の最大の魅力は、地元の人々がそのまま登場人物として存在しているかのようなリアリティです。
俳優たちはプロではないものの、顔つきや話し方、動作のひとつひとつがこの土地で生きてきた人間であることを物語っています。
その自然な演技は、まるでドキュメンタリーを観ているようでありながら、しっかりとフィクションとして成立している点が見事です。
社会の壁と田舎の“現実”
トトンヌがようやくチーズ作りに成功し、「コンテストに出よう」と意気込むシーン。
しかし、そこに立ちはだかるのは冷たい現実――。出場には正式な工房としての登録や許可が必要で、彼のような立場では参加すらできないことが判明します。
「田舎だから何とかなるだろう」という甘い希望が砕かれる瞬間、作品は田舎だろうが何だろうが社会は厳しくしっかりしているのだという現実を突きつけてきます。
また、トトンヌの友人たちの存在も印象的です。
車を“いかに美しく横転させるか”を競うレースで優勝し祝福されるのだが、このレースで優勝したところでこの友人は食っていけるのだろうか? と心配になっしまう。
そんな無力な若者たちの姿が、地方に生きる若者の現実そのものとして胸に刺さります。
ラストシーンの希望と寛大さ
それでもトトンヌが作ったコンテチーズを食べ「しっかりできてる」と言ってもらった時のトトンヌと妹の表情、そしてラストでマリーが胸をはだけるシーンは、「まあなんとかなるだろう」と思わせてくれる寛大さが感じられました。
不器用でも、間違いながらでも、前に進む。
そんなトトンヌの姿に、ジュラ地方の美しい風景とともに生きることの力強さを感じることができました。
まとめ|『ホーリー・カウ』は“生きる実感”を映した映画
『ホーリー・カウ』は、若者の成長や社会との衝突を描きながら、同時に地域文化や家族の絆、そして「生きること」そのものを見つめた作品です。
ルイーズ・クルヴォワジエ監督の初長編とは思えないほど、土地の空気と人の温度がスクリーンに滲んでいます。
静かな感動とともに、「現実に抗いながらも生きるしかない」人々の姿が心に残る、瑞々しい青春映画でした。
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