『SISU シス 不死身の男』あらすじと考察(ネタバレあり)

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第2次世界大戦末期のフィンランドを舞台に、伝説の老兵とナチスの戦いを描いたバイオレンスアクション。

1944年、ソ連に侵攻されナチスドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。老兵アアタミ・コルピは愛犬ウッコとともに金塊を掘り当て凍てつく荒野を旅していた。

ブルーノ・ヘルドルフ中尉率いるナチスの戦車隊に遭遇し金塊と命を狙われるが、実はアアタミはかつて精鋭部隊の一員として名を馳せた伝説の兵士だった。

アアタミは使い古したツルハシ1本と不屈の精神を武器に、次々と敵を血祭りにあげていく。

『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』のヨルマ・トンミラが主人公アアタミを、『オデッセイ』のアクセル・ヘニーがヘルドルフ中尉を演じています。

監督・脚本は『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』のヤルマリ・ヘランダー。

 

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『SISU シス 不死身の男』作品概要


公開日(日本):2023年10月27日

監督:ヤルマリ・ヘランダー

キャスト
アアタミ・コルピ(ヨルマ・トンミラ)
ブルーノ・へドルフ(アクセル・ヘニー)
ヴォルフ(ジャック・ドゥーラン)
アイノ(ミモサ・ビッラモ)
シュルツ(オンニ・トンミラ)

『SISU シス 不死身の男』あらすじ

金塊を掘り当てた老兵

1944年、第2次世界大戦末期のフィンランド――

敗戦濃厚のナチス軍は敵地を焼き払ないながら撤退する焦土作戦を実行していた。

凍てつく荒野を旅する老兵アアタミ・コルピは、愛犬ウッコとともに金塊を掘り当てる。

掘り当てた金塊ほ運ぶ道中、アアタミはブルーノ・へドルフ中尉が率いるナチスの戦車隊に出くわす。トラックの中にはフィンランドの女性捕虜が乗せられている。

アアタミはブルーノに目を付けられるも、どうせこの先で命を落とすだろうと通行を許可される。

アアタミは先に進むが、すぐに別の親衛隊に遭遇し隊員の一人に金塊を見つけられてしまう。

しかし隊員がアアタミを殺そうとすると、アアタミはナイフで反撃し、親衛隊を全滅させる。

アアタミを殺すためにしては長い銃声を聞いたブルーノの部隊は、引き返し惨劇を目の当たりにする。

伝説の老兵

アアタミはブルーノの部隊から逃げようとするも、すぐに追いつかれてしまい、機銃掃射を浴び地雷原に追い込まれてしまう。

しかし、アアタミは落ちていた地雷に石を投げ爆発させ、逃げることに成功する。

その後、湖に追い込まれても水中で敵兵を殺し、絶体絶命のピンチをその場の創意工夫で乗り越えていく。

そこにブルーノの部隊に「アアタミとこれ以上かかわるな」と本部から命令が入る。

アアタミはソ連との冬戦戦争で家族を殺され、その復讐としてたった一人で300人のソ連兵を殺した伝説の兵士だったのだ。

金塊を奪われてしまう

ブルーノは本部からの命令に背いていしまう。

すでにナチスの敗戦は濃厚で本部に手ぶらで帰ったところで縛り首にされるのがオチで、アアタミの持っている金塊が生きる上でのキーになってくると思ったのだ。

ブルーノは再びアアタミに追いつき、眠っているすきを突き縛り首にして金塊を奪い去ってしまう。

しかしアアタミは柱に刺さっていたクギを自らの傷口につき刺し、体を持ち上げ生きながらえる。

さらに、補給にきたナチスの航空部隊から戦闘機を奪い、ブルーノを追いかける。

飛行機につるはし1本で食らいつく

ブルーノの部隊に追いついたアアタミは、捕虜の女性たちに奪った銃を渡し協力して次々と兵士を倒していく。

焦ったブルーノは飛行機に乗り逃げるも、アアタミはつるはしで飛行機に食らいつき飛行機に乗り込む。

アアタミはブルーノの体術に苦戦するも、ブルーノを倒し、飛行機ごと地面に墜落するも何とか生きながら得る。

ついに金塊を奪い返したアアタミは銀行に行き、金塊を現金に換金するのだった。



『SISU シス 不死身の男』考察

SISUとは何なのか?

タイトルの「SISU(シス)」とはフィンランドの言葉で、すべての希望が失われたときに現れるという、不屈の精神のような意味合いを持つが、正確に翻訳できる言葉がないとされています。

ヤルマリ・ヘランダー監督は言葉で説明するのが難しいから本作を作ったと語っています。

アアタミはまさに「SISU」を体現したキャラクターと言えるでしょう。

語源は「はらわた」で英語だと「腸(ガッツ)」に近いともされています。

「大和魂」にも翻訳する言葉がないように「SISU」もその感覚に近いのかもしれません。

時代背景

冬戦争

1917年にロシア帝国から独立したフィンランドは、これまで4つの戦争を経験しています。

アアタミが300人の兵士を殺したとされる「冬戦争」も史実で、1939年にフィンランドはソ連の侵攻を受け、圧倒的なソ連の軍事力(約100万人)に対し、約34万人で立ち向かいました。

その中でも狙撃手シモ・ヘイヘは一人で500人以上のソ連兵を射殺し「白い死神」と呼ばれました。

シモ・ヘイへはアアタミのモデルの一人であるとされています。

フィンランド軍はスキー部隊や奇襲で応戦するも、ソ連に敗れてしまいます。

ラップランド戦争

本作の舞台となっているのは1944年から1945年まで続いた「ラップランド戦争」。

ソ連に敗れたフィンランドは、さらにバルト三国を併合し力をつけていくソ連を脅威に感じ、ドイツと距離を縮めます。

ドイツはフィンランドと協力しソ連に侵攻していきますが、ソ連軍はフィンランドを空爆し、フィンランドはソ連に宣戦布告します。(継続戦争)
継続戦争は長期化し1944年まで続きますが、休戦条約が締結されます。

その休戦条約の一つがドイツ軍のフィンランドからの撤退です。

ドイツ軍は撤退にあたりフィンランド軍と衝突。道路や橋、家を焼き尽くす焦土作戦を行い、大量の地雷でフィンランド軍をかわそうとしました。

アアタミが金を発掘するのも史実的で、ラップランドでは19世紀から20世紀にかけて「ゴールドラッシュ」が起こっています。

続編は?

アアタミがなぜ金が必要だったのか、本編ではその理由が一切明かされませんでした。

ヤルマリ・ヘランダー監督は続編を作る気満々なようです。

あとは本作がヒットすれば、といった感じでしょうか。

影響を受けたとされている『ランボー』や『ダイ・ハード』、同じくかつて伝説を残したとされる殺し屋が無双する『ジョン・ウィック』もシリーズ化され素晴らしい続編が作成されていますので『SISU』にも期待が高まります。

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