映画『テレビの中に入りたい』感想・考察|現実逃避とアイデンティティの物語

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公開日(日本):2025年9月26日

監督:ジェーン・シェーンブルン
脚本:ジェーン・シェーンブルン

キャスト
オーウェン(ジャスティス・スミス)
マディ(ジャック・ヘブン)
イザベル(ヘレナ・ハワード)
タラ(リンジー・ジョーダン)

 

 

ネタバレを含む内容となります。ご注意ください!

はじめに

映画『テレビの中に入りたい』は、青春の息苦しさや抑圧、そして現実から逃げたい衝動を描いた不思議なファンタジー作品。


主人公オーウェンが夢中になる深夜番組「ピンク・オペーク」を軸に、思春期の孤独やアイデンティティの葛藤が静かに、しかし強烈に描かれていきます。この記事ではストーリーを振り返りながら、私自身の感想・考察をまとめてみました。


映画『テレビの中に入りたい』あらすじ(前半)

主人公オーウェンは、どこかパッとしない青春時代を過ごしている。

彼が唯一心を奪われたのは、深夜に放送されるテレビ番組「ピンク・オペーク」のCM。

しかし番組が始まるのは夜10時半。厳格で家父長的な父親の理解を得られず、オーウェンは番組を観ることすらできない。

そんな中、オーウェンは「ピンク・オペークオタク」である年上の女性・マディと出会い、彼女の家で番組を一緒に観るようになる。

冴えない青春の中で初めて見つけた夢中になれるもの、そして同じ趣味を持つ人との出会い。美しいカットが連なり、どこか文学的な雰囲気すら漂う前半は、観ているこちらにも「あの頃」のざわつくような記憶を呼び起こしてくる。


思い出系の映画かと思いきや……

序盤は「過去を振り返る思い出系の青春映画」だと思わせながら、物語は想像もつかない方向に進んでいく。

家庭環境の悪さや自身の性のことで周囲へ馴染めないマディは、現実から逃れるように町から失踪してしまう。

マディと違い、オーウェンは父親のもとに残る。

数年後、再び現れたマディは「ピンク・オペークの中に入っていた」と語り、完全に番組の登場人物のようになっていた。

そして彼女は「埋められているオーウェンを助けに来た」と言う。埋められているのは、周囲に隠し続けてきた“本当のオーウェン”のことだ。


マディとオーウェンの共通点

マディはレズビアンであり、義父から虐待を受け、居場所を見つけられないまま「ピンク・オペーク」に救いを求めた。オーウェンもまた、直接的な描写は少ないものの性同一性障害であることが示唆されている。しかし厳しい父親のもとでは、自分の性や欲望について考える余地すら与えられなかったのだと思われる。

番組のキャラクターと同じ女性用のワンピースを着てマディと歩いた記憶は、本当にあったことなのか、「ピンク・オペーク」の幻想なのか、それとも願望の投影なのか。現実と虚構の境界が曖昧になる中で、オーウェンのアイデンティティも揺さぶられていく。


大人になったオーウェンと「ピンク・オペーク」

オーウェンが大人になってから再び「ピンク・オペーク」を観返すと、それは驚くほど子供向けの番組だった。かつては夢中になったものが、今は単なる幼稚なコンテンツに見える。それはオーウェンが社会に適応し、現実逃避の必要がなくなったからなのかもしれない。

しかし物語はさらに過酷な終盤へと突き進む。オーウェンはついに心を壊してしまう。


クライマックス|「本当の自分」との対面

トイレで自らの胸を開いたオーウェンは、そこに美しい光を見出す。


「なんだ、自分の中にはこんなに綺麗なものが溢れていたのか」と気づく瞬間。

その後、彼は周囲の見知らぬ人々に謝り続ける。まるで「本当の自分を隠し続けてごめんなさい」と言っているかのように。


感想・考察まとめ

『テレビの中に入りたい』は、青春時代の曖昧な記憶と、現実と虚構の狭間で揺れるアイデンティティを描いた作品です。

現実に耐え続けたオーウェンと、現実から逃げて番組の中に入り込んだマディ。その対比は、誰しもが抱える「逃げたい気持ち」と「耐えなければならない現実」の間で揺れる心を象徴しているように感じました。

観終えたあと、不思議と胸の奥がザワつき続ける。そんな余韻を残す映画でした。

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