『1917 命をかけた伝令』あらすじと考察(ネタバレあり)

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『1917 命をかけた伝令』作品概要

公開日(日本):2020年2月14日

監督:サム・メンデス

キャスト
スコフィールド上等兵(ジョージ・マッケイ)
ブレイク上等兵(ディーン=チャールズ・チャップマン)
スミス大尉(マーク・ストロング)
レスリー中尉(アンドリュー・スコット)
ブレイク中尉(リチャード・マッデン)
エリンモア将軍(コリン・ファース)
マッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)

『1917 命をかけた伝令』あらすじ

1917年4月――

第一次世界大戦が開戦してから3年がたち、ドイツ軍とイギリス・フランスの連合軍は大きな犠牲をともなう消耗戦を繰り広げていました。

イギリス第8連隊に所属する“ウィリアム・スコフィールド”“トム・ブレイク”は重要な伝令任務を“エリンモア将軍”から与えられます。

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“マッケンジー大佐”率いるデヴォンジャー連帯第2大隊は、退却したドイツ軍に追い打ちをかけようとしていました。

しかし、航空写真の情報によると逃げ込んだドイツ軍は要塞で待ち構えていることが判明。

翌朝に予定される戦線突破を止めなければ、デヴォンジャー連帯第2大隊の1,600人は返り討ちに遭い、全滅は免れることはできません。

第2大隊にはブレイクの兄が所属しています。

エリンモア将軍は将軍は「お前たちが伝令を失敗すれば1,600人とともに兄も死ぬことになる」とはっぱをかけます。

2人は最小限の武器と発煙筒、食事を渡され出発します。

ドイツ軍が撤退したとはいえ、何が待ち構えているかわからない陣地を通過するのにスコフィールドは慎重になり夜を待つことを望みます。

しかし、兄の命がかかるブレイクは「お前の兄だったら同じことを言うか?」と先を急ぎます。

大量の砲弾が撃たれた大地には植物ひとつなく、放置された馬の死体にはハエが群がります。

有刺鉄線が張り巡らされたバリケードを抜け、ドイツ軍の塹壕へたどり着くと、情報の通り中はもぬけの殻となっています。

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塹壕内部には簡易ベッドが並べられ、ドイツ軍のものであろう家族の写真が残されていて、先刻までの生活感が残されてます。

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そこに1匹のネズミが現れます。

2人がネズミに目を向けると、そこにはドイツ軍の残した爆弾が残されています。

ネズミが爆弾に上った衝撃で大爆発が起こり、スコフィールドは生き埋めになってしまいます。

ブレイクは何とかスコフィールドを掘り起こし、崩れ行く塹壕から命からがら脱出します。

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先へ進むと目の前に牧草地が広がります。

牧草地には牛が一頭残されており、民家はもぬけの殻です。

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バケツには牛乳が貯めてあり、スコフィールドは喉を潤し、水筒もいっぱいにすることができました。

ふと空を見上げると空中戦が繰り広げられています。

連合軍が2基に対しドイツ軍は1基。

味方の戦闘機はドイツ軍を追い詰め撃退します。

しかし撃ち落されたドイツ機は2人がいる牧草地に墜落し炎上します。

2人は火の手が上がる戦闘機から兵士を救出し治療を試みます。

しかし、ブレイクは救出した敵兵に腹を刺されてしまいます。

スコフィールドは急いで兵士を撃ち殺すも、ブレイクは母に手紙を書いてほしいと言い残し死んでいきました。

スコフィールドはブレイクの懐にしまってあった伝令書と身に着けていたアクセサリーをポケットにしまい、先に進みます。

そこに先ほど戦闘機を撃ち落した味方の軍がやってきます。

スコフィールドから任務の内容を聞いた“スミス大尉”は、トラックにスコフィールドに乗せてくれます。

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しかし、橋が爆破されておりトラックは迂回を余儀なくされてしまいます。

先を急ぐスコフィールドは単身進むことを余儀なくされます。

川を渡り切ったスコフィールドは、スナイパーから狙撃を受けます。

スコフィールドは応戦しながらスナイパーの潜む建物に入り込みますが相打ちとなり気絶してしまいます。

スコフィールドが目を覚ますとあたりは真っ暗になっています。

慌てて建物の外に出るとすぐにドイツ兵に見つかり戦闘になってしまいます。

スコフィールドが建物の陰に隠れると、中にはフランス人の若い女性と赤ん坊が隠れていました。

片言の言語でコミュニケーションをとる2人。

女性は赤ん坊に飲ませるミルクと食料がないことに困っていました。

スコフィールドは牧草地で水筒に汲んだ牛乳と配給された食料をすべて女性に渡します。

そして女性からすぐ先にある川の向こうが目的地であることを教えてもらいます。

女性と別れるとまたしてもドイツ兵に見つかりスコフィールドは逃げ、川に飛び込みます。

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川に流され森につくと連帯が攻撃の準備をしています。

スコフィールドはついに目的のデヴォンジャー連帯第2大隊に追いたのです。

塹壕で隊列が攻撃準備に移る中、スコフィールドはマッケンジー大佐を探します。

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しかし、兵士たちは突撃を開始してしまいます。

なんとかマッケンジー大佐のもとにたどり着いたスコフィールドでしたが、マッケンジーは相手にしようとしません。

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しかしスコフィールドの必死の説得についに伝令を読み、攻撃を中止にします。

スコフィールドは突撃に出た負傷兵の中からブレイクの兄を探します。

ついにブレイクの兄を見つけたスコフィールドは、ブレイクの最期と母に手紙を書くという希望を叶えるのでした。

『1917 命をかけた伝令』大事なポイント

『1917 命をかけた伝令』はなぜ嘘をついてまでワンカットにこだわったのか?

『1917 命をかけた伝令』は「全編ワンカットで撮影された」と大々的に宣伝されていますが、まずこれが嘘です。

公式ホームページのイントロダクションを読み進めていくと

約2か月の撮影期間を経て【全編ワンカットに見える映像】を創り上げた。

とあるし、スコフィールドがスナイパーと相打ちになって気絶するシーンや川に落ちるシーンなど、素人が見てもカットが割られていることがわかります。

本当にワンカットなら撮影期間は映画と同じ時間になるはずですしね。

ただCMでは「全編ワンカット“風”」ということはわからないし、正直過大宣伝だと思います。

伝令兵が戦争を止めたという事実はない

この映画の後、史実では第一次世界大戦はこの後どんどん泥沼化していきます。

なので伝令兵が戦争を止めたという事実はありません。

航空写真でドイツ軍は撤退していることはわかっているのだから、スコフィールドとブレイクはあんなに慎重になる必要はないし、戦闘機がバンバン飛んでいるのだから伝令は戦闘機で伝えればよいはずです。

このように脚本的にも嘘が紛れているのです。

では、なぜそこまでしてワンカットにこだわったのか?

それは本作の撮影監督が“ロジャー・ディーキンス”であるということに大きな理由があります。

ロジャー・ディーキンスは『ブレードランナー 2049』でアカデミー賞を獲得するなど、これまで14度にわたりアカデミー賞にノミネートされた圧倒的な実力を持つ偉大な撮影監督です。

撮影監督というのは本来あまり注目されることはなのですが、ロジャー・ディーキンスに至ってはもはや生ける伝説という域まで足を踏み入れているのです。

サム・メンデスとロジャー・ディーキンスは2005年『ジャーヘッド』という戦争映画でコラボレーションしており、兵隊の日常をある兵士の1人称視点で描いています。

サム・メンデスが『ジャーヘッド』で表現した没入感をさらに求めた結果、ロジャー・ディーキンスは全編ワンカットに見える映像を撮ることに決めたのです。

しかし、撮影監督のスターであるロジャー・ディーキンスに全編ワンカットに見える映像を撮らせることを優先したあまり、脚本の嘘があらわになってしまいました。

宣伝文をよく読まず本物の全編ワンカットを期待して本作を観た人はがっかりしたことでしょう。

しかし、カットの数を極力減らしたことにより、緊張感や戦場の苛烈さは観客も感じることができ、さすが没入感にこだわっただけのことはあるなと感じます。

ラストの兵士たちが突撃する中をスコフィールドが駆け巡るシーンも圧巻で、これもワンカットではなくては撮れない、迫力のあるシーンでした。

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