『ベイビーガール』あらすじと感想(ネタバレあり) サミュエルという存在自体がファンタジーなのではないか?

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ニコール・キッドマンが主演を務め、すべてを手に入れたはずの女性CEOが満たされない欲望をインターンの青年に暴かれていく姿をスリリングに描いたエロティックスリラー。

ロミー役を大胆に演じたキッドマンは2024年・第81回ベネチア国際映画祭でボルピ杯(最優秀女優賞)を受賞。

「逆転のトライアングル」のハリス・ディキンソンが年下インターンのサミュエル、「デスペラード」などのアントニオ・バンデラスが夫ジェイコブ、「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」のソフィー・ワイルドがロミーに憧れる部下エスメを演ています。

監督・脚本は「BODIES BODIES BODIES ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」のハリナ・ライン。

「主導権」や「駆け引き」といった部分がしきりに注目されていますが、それは表面上の観客を楽しませるためのエンターテインメントの部分。

この映画でハリナ・ライン監督が本当に表現したいことを考えていきます。


公開日(日本):2025年3月28日

監督:ハリナ・ライン
脚本:ハリナ・ライン

キャスト
ロミー:ニコール・キッドマン
サミュエル:ハリス・ディキンソン
ジェイコブ:アントニオ・バンデラス
エスメ:ソフィー・ワイルド

家父長制の時代は終わり、リーダーになるのは男性も女性も関係ない。家庭でも女性が家事をして男性はふんぞり返っているなんてことは許されない。

もちろんベッドの上でも平等で、虐げられたい女性なんているはずがない。マゾヒズムの女性というのは、男が創り上げた幻想だ。

本当にそうか? 100人女性がいたら100人全員がそうか?

ニコール・キッドマン演じるはロミーは大企業のCEOで、かつての男性社会を勝ち抜いてきた。女性の新しいリーダーとして人望も厚い。

夫はアントニオ・バンデラス演じる劇作家のジェイコブ。

ガッチリした体格ながら(失礼)、時代にあった倫理観を持ち、家庭でも男女平等の精神を貫いている。ロミーがキッチンでエプロン姿でいることすら嫌がる始末だ。

2人の娘にも恵まれている。

しかし、ロミーは夫とのセックスでオーガズムに達することが出来ない。

本当は乱暴にされるがままにされたいという願望があり、夫にありのままに伝えるが「そんな悪党みたいなことは出来ない」と断られてしまう。

そんな中、インターンの大学生がロミーの働く会社へやってくる。

ハリス・ディキンソン演じるサミュエルは、長身で美しい筋肉を持ち、可愛い顔をした青年だ。

サミュエルはをロミーをメンターとして指名し指導を仰ぐも、すぐに年齢や地位を超えて傍若武人な態度をとって見せる。

会議室やホテルに呼びつけ「本当はあなたは支持されたい側の人間だ」と性的にマウントを取ろうとする。

CEOという立場でこんなに若い男と寝るということと、家庭を壊したくないとはじめは断るも、ロミーはセクハラで訴えると脅されてしまう。

どんな事情であれ、歳を重ねて多くの責任を持つCEOとして告発はどうしても避けなければならないという思いもあったが、すぐに自分が本来持っていた願望が叶えられていることに気づき、サミュエルの言うことをことを聞くようになる。

本作ではよくロミーのアップが映し出させる。

顔にはシワが刻まれ、肉体はたるんできている。しかしロミーはボトックス注射を打ち、加齢に対抗しようとしている。

ルッキズムの時代は終わりとか、リーダーに女性も男性も関係ないという風潮の世の中だけど、全然そんなことなくロミーは美しい女性だからこそCEOという地位まで上り詰めたのではないかと感じさせる。

ロミーとサミュエルがクラブではちゃめちゃに踊り狂うシーンは、そういった時代の風潮からの解放でもあるように思える。

ロミーとサミュエルの関係はもちろんジェイコブにバレてしまう。ロミーはサミュエルとのこれまでの関係をありのままにジェイコブに話す。

ジェイコブの「女性のマゾヒズムは男性の幻想だ」というセリフに対してサミュエルは「それは古い間違い」だと言う。

ジェイコブは混乱し呼吸困難になってしまう。

必死にアップデートしてきた倫理観はもう変わってしまったのか? それとも最初からそうだったのか? 自分が良かれと思ってやってきたことは間違いだったのか? そんな気持ちが見て取れる。

しかしサミュエルは、あっけなくロミーで働くことを辞退し別の会社に就職し、ロミーの元から去ってしまう。(日本のカワサキに就職するらしい)

ここで思うのは、サミュエルというのはロミー(ある女性)の欲望が具現化されたものではないのかということ。

突如現れた青年は甘いマスクで美しい筋肉を持ち、これまで満たされることがなかった性的欲求を満たす。会社を乗っ取ろうという気配も感じない。

かと思えば不安に駆られ青年らしい可愛さで甘えてきたりする。ロミーにとってなんて都合のいい存在か。

最終的に家庭を破壊するのかと思いきや、ロミーの欲望が本物であることをジェイコブに気づかせて、ロミーは夫婦のセックスでオーガズムに達することができるようになるのだ。

これはこれまで男性監督が作ってきた女性に対する幻想(ファンタジー)の女性監督バージョンであり女性(全ての女性という意味ではなく)が男性に抱くファンタジーだ。

そしてマゾヒズムというのは確かに少数なのかもしれないが「別にこういう女性がいたって何もおかしいことはないでしょう?」というメッセージなのだと思う。

ラストで面白いのはロミーの部下であるソフィー・ワイルド演じるエスメがちゃっかり出世を果たしているということだ。

エスメは現代の「リーダーたるもの清廉潔白であるべきだ」とか、仕事以外のところで評価されることを不浄だと思っている。

ロミーが男社会を生き抜き、いざ女性もリーダーになる時代!という世論を利用しCEOに登りつめたのと同じく、エスメもまた、こう言った世論を逆手に取って出世を果たしている。

また、エスメはサミュエルと交際もしていて出世欲があふれていることは序盤から描かれている。

サミュエルがロミーの願望を叶えたように、エスメにとってもサミュエルは都合の良いファンタジーであったのかもしれない。

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