『ジョーカー』あらすじと考察(ネタバレあり) ラストの意味は?

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(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

DCコミックスのバットマンの敵として1940年に登場し、以降悪のカリスマとして絶大な人気を誇るジョーカー。

これまで多くの名優たちが演じてきましたが、これほどまでの悪役を演じることは並大抵のことではありません。

2008年公開された『ダークナイト』でジョーカーを演じた“ヒース・レジャー”は、演じることに入り込みすぎてしまい精神を病み死に至ったと噂されています。

そして今回ジョーカーを演じたのは『グラディエイター』『ザ・マスター』などでおなじみの“ホアキン・フェニックス”

これまでコミックスでも語られることがなかったジョーカー誕生の物語が完全オリジナルで描かれています。

今回はあらすじとともに、なぜなんの能力も持たないジョーカーが強い存在として描かれるのかということと賛否が分かれるラストについても考察していければと思います。

『ジョーカー』作品概要

公開日(日本):2019年10月4日

監督:トッド・フィリップス

キャスト
アーサー・フレック/ジョーカー(ホアキン・フェニックス)
ロバート・デ・ニーロ(マレー・フランクリン)
ザジー・ビーツ(ソフィー・デュモンド)
フランセス・コンロイ(ペニー・フレック)
ビル・キャンプ(ギャリティ刑事)
シェー・ウィガム(バーク刑事)
ブレット・カレン(トーマス・ウェイン)
グレン・フレシュラー(ランダル)
リー・ギル(ゲイリー)
ダグラス・ホッジ(アルフレッド・ペニーワース)
ダンテ・ペレイラ=オルソン(ブルース・ウェイン)

『ジョーカー』あらすじ


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市の衛生局がストライキを起こし、街中がゴミで溢れかえるゴッサム・シティ。

貧富の差が広がり、貧困層の不満はたまっていく一方で、実業家の“トーマス・ウェイン”が市長選への出馬を表明し、希望の光となっていました。

ピエロ派遣プロダクションで働きながらスタンダップコメディアンを目指す“アーサー・フレック”は、商店の看板持ちをしているところをストリートギャングの子供たちに襲われ、看板を壊されてしまいます。

失意の中アーサーが帰宅すると、精神を病み介護が必要な母“ペニー”がテレビを観て喜んでいます。

テレビでは人気司会者の“マレー・フランクリン”が、軽妙な話術で観客の笑いを誘っており、それはアーサーの目指すコメディアンの姿でありました。

ペニーは毎日のようにトーマスに手紙を書き、その返事を心待ちにしています。

30年前にウェインの企業で勤めた経験があり、元従業員のよしみで自身の貧困を救ってくれると信じているのです。

翌日出勤すると、アーサーが襲われたことを知った同僚の“ランドル”が、護身用にと拳銃をアーサーに渡してくれます。

社長からは看板を壊されたことを咤され、その弁償分を給料から引かれてしまいアーサーの生活はますます困窮を極めていきます。

定期的に行われるソーシャルワーカーによるカウンセリングで、アーサーは薬の量を増やしてほしいと頼みます。

アーサーは脳の障害から緊張すると笑ってしまう病気を抱えており、周囲から気味悪がられていたのです。

ある日、アーサーが小児病院での仕事で子供たちに歌とダンスを披露していると、ランドルから譲り受けた拳銃を床に落としてしまいます。

プロダクションにそれがバレてしまい、アーサーは即刻クビを言い渡されます。

拳銃は笑いをとるための小道具だったと言い訳しますが、どうやらランドルが本物の拳銃を持っていることを密告したようです。

ピエロ姿のまま地下鉄に乗ると、3人の若者が女性に絡んでいます。

困惑したアーサーは緊張から笑ってしまい、笑われたことに腹を立てた若者たちはアーサーを袋叩きにします。

必死に耐えるアーサーでしたが、我慢の限界に達し、持っていた拳銃で3人を殺してしまいます。

興奮冷めやらぬアーサーは、隣の部屋に住み日頃から憧れていたシングルマザーの“ソフィー・デュモンド”を強引に誘い、恋人関係になります。

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翌日、荷物をまとめるためプロダクションに出向くアーサー。

地下鉄で若者が殺されたことが話題になっており、3人はトーマスが社長を務める企業の証券マンだったようです。

トーマスは従業員が殺されたことに対し

「顔を隠さないと殺しが出来ない卑怯者の犯行」と声明を出しますが、その声明は市民から反感を買うことになります。

大企業の証券マンが殺されたことで、貧困層たちは

「謎のピエロが金持ちを殺した」と犯人を英雄視していたのです。

カウンセラーからはカウンセリングは今日が最後だと言われてしまいます。

市が予算カットを名目にアーサーのような弱者への支援をやめるというのです。それでもアーサーは夢を諦めず、ナイトクラブに出演します。

ソフィーもその様子も見に来ていましたが、ステージに立つと緊張から笑ってしまい、観客はその奇妙さに唖然とするのでした。

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ある日アーサーは、ペニーがトーマスに宛てた手紙を読んでしまいます。

手紙には、あなたの“妻”と“息子”が貧困で苦しんでいるから助けてほしいという旨が書かれていました。

驚いたアーサーがペニーを問い詰めると、ペニーはかつてトーマスと関係を持ったものの捨てられてしまったというのです。

真相を確かめるべくアーサーはトーマスの自宅に向かいます。

門の向こうではトーマスの息子“ブルース・ウェイン”がおり、お父さんに会わせてほしいと頼みます。

しかし、執事のアルフレッド・ペニーワースが駆けつけブルースから離れるように言われてしまいます。

諦めることができないアーサーは、市民がピエロの仮面をかぶりデモを起こしている隙をついて自宅に潜入し、トーマスに近づきます。

アーサーが自分はあなたの息子だと主張すると、ウェインはペニーのことを気の狂った女だと言い、関係があったことはペニーの妄想だと主張し、食い下がるアーサーを殴りつけます。

アーサーが帰宅すると、ペニーが救急車に運び込まれています。

地下鉄での殺人事件の聞き込みで警官が訪れ、困惑したペニーが倒れてしまい頭を打ったというのです。

アーサーは救急車に乗り込み病院に向かい、ソフィーも駆けつけてくれます。待合室でテレビを観ていると、ナイトクラブに出演した自身の様子が流されています。

驚くアーサーでしたが、司会者のマレーはアーサーのスベりっぷりを笑いものにしているようでした。

自宅に帰ると警察がひっきりなしに電話をかけてきますが、アーサーはこれをすべて無視します。

しかしある日、テレビ局から電話がかかります。ナイトクラブでのアーサーの様子を流したところ反響が大きく、マレーの番組に出ないかというのです。

アーサーはこれを快諾し翌週の出演を約束します。

アーサーはペニーとトーマスの関係の証拠をつかむべく、ペニーが収容されていたという精神病院に向かいます。

受付でペニーの記録を求めると、本人の許諾がないと渡すことができないと言われてしまいますが、アーサーは強引に記録を奪い逃走します。

ペニーには虚言癖があると記載がありました。

さらにペニーの当時の恋人とペニー自身が息子を虐待し、脳に障害を負わせたと記載があります。

自身の障害は生まれながらのものだとペニーから言われそれを信じていたアーサーは、ペニーが入院する病院に向かい、クッションでペニーを窒息死させます。

いよいよ疲れ果てたアーサーがソフィーの家に入ると、ソフィーは怯えきり、出ていくように言われてしまいます。

ソフィーとの関係はすべて薬を断たれたことにより起こる妄想だったのです。

マレーの番組への出演当日、アーサーは髪を緑に染め、ピエロのメイクをほどこします。

そこにランドルと小人症の“ゲイリー”が訪ねてきます。プロダクションにも警官の捜査が入り、自身の銃をアーサーが持っていることを恐れたランドルが黙っているように言いに来たのです。

しかしアーサーはこれに怒り、ハサミでランドルの首を切り裂き、壁に何度も頭を打ち付け殺してしまいます。

アーサーは親切に接してくれたゲイリーは見逃すことにしました。

アーサーが自宅を出ると2人の警官が後を追ってきます。

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街では金持ちへの反感デモが大規模化し、ピエロの仮面をかぶった人々で溢れかえっています。

地下鉄に逃げ込んだアーサーは巧みにピエロたちを誘導し、警官を襲わせて無事撮影現場までたどり着きます。

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自らを「ジョーカー」とマレーに呼ばせ、マレーに面白いことを話すように求められると、地下鉄で若者を殺したのは自分だと話し始めます。

さらに自分のような弱者を誰も気にかけないことに怒り狂い、銃でマレーを殺してしまいます。

逮捕されパトカーに乗せられるアーサーでしたが、放送を観ていた人々は暴動をさらに激化し街は壊滅状態です。

トラックがアーサーの乗るパトカーに突っ込み、ピエロたちはアーサーを助け出し祭り上げます。路地裏に逃げ込んだウェイン一家は暴徒に襲われ、トーマスと妻のマーサが殺されてしまいます。

精神病院に収容されたアーサーしはカウンセラーに「面白いジョークを思いついた」と話します。

直後足が血で染まったアーサーが扉から出てき、廊下を歩いていくのでした。

『ジョーカー』大事なポイント

なぜジョーカーは強いのか?

トランプでジョーカーというとピエロの格好をしており、ゲームの多くでキングよりも強い存在として扱われます。

一般的なイメージではキングが強そうですが、なぜピエロの方が強いのか?

諸説あるそうですが、それは中世ヨーロッパまで遡ります。

ピエロ(道化師)は中世ヨーロッパで王族を楽しませるために存在し、人々を笑わせるため時に王族のことを揶揄することも言っていたそうです。

中世ヨーロッパというとそんなことをすると処刑されてしまいそうなイメージがありますが、王族たちは自身の器の広さを見せつけるため寛容的であったそうです。

そのため王族(キング)ですらも倒すことができない存在としてピエロ=ジョーカーが強い存在として描かれているのです。

DCコミックスとしてのジョーカー

DCコミックスで描かれるジョーカーは基本的にはなんの能力も持っていません。

ではなぜバットマンはこれほどまでに苦戦を強いられるのか?

それはジョーカーは悪としての信念がないからです。

大抵の物語での悪役は「金が欲しいから」「征服したいから」という理由がありますが、ジョーカーにはそう言った理由がありません。

彼にとっては全てがジョーク(喜劇)であり、人を殺すこともジョークなのです。

そのため行動の予測ができず対処しようがない存在です。今回の『ジョーカー』では人を笑顔にしたいと信念を持つアーサーが全てを奪われ極限まで追い詰められてしまいます。

しかし、いくら追い詰められてもアーサーは人を笑顔にするという信念を捨てることはありません。

悪事を働くことは彼なりのジョークなのです。



ラストの意味

アーサーがパトカーに乗せられた後、病院でアーサーとカウンセラーが話しているシーンに変わります。

まるでこれまでの全てがアーサーによる妄想だったのか?

という解釈もできるラストとなっています。では、どこまでが妄想でどこまでが現実だったのか?

ヒントになりそうなシーンがいくつかありました。

プロダクション社長との電話での会話ランダルから譲り受けた拳銃を落としてしまったことがきっかけで、プロダクションをクビになってしまったアーサー。

半ば強引にランダルがアーサーに渡したシーンが描かれていますが、社長は「ランダルに頼んで買い取ったんだろ?」と言ってきます。

ランダルがちくったと思いがちなシーンですが、実際にアーサーはランダルに拳銃を譲るように頼み込み、その後ランダルから無理やり譲り受けたと思い込んでいるのかもしれません。

自分でジョーカーと名付けておいて忘れているマレーナイトクラブでのアーサーの様子を笑いものにして自分で「ジョーカー」と名付けておきながら、番組に呼んで直接会った時には「そんなこと言ったけ?」と完全に忘れています。

まあ忙しそうな有名人だし、今回はメイクもしているから混乱しているのかな?

とスルーしてしまうシーンではありますが、自分で名付けた名前を忘れるなんてことがあるでしょうか?

そもそも、ナイトクラブでの様子がマレーの番組で取り上げられるなんてこと自体、アーサーによる妄想だったのかもしれません。

『ジョーカー』まとめ

政治的での意味はもちろん、どこからどこまでがアーサーによる妄想なのか?

ということを人それぞれ考えるのが面白い作品でした。

ラストのシーンを見てしまうとすべて妄想だったのか?と思わせられてしまいますが、ここまでアーサーに共感させられてしまてっは、妄想だったというのはあまりにも悲しい結末な気がします。

続編については発表されていませんが、ホアキン版『ジョーカー』のこれからをぜひこの目で確認したいところです。



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