『ノースマン 導かれし復讐者』あらすじと考察(ネタバレあり)

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『ウィッチ』(2015)では魔女を、『ライトハウス』(2019年)では灯台守(船乗り)をその時代背景に合わせて、言語までも徹底的にこだわり撮影した”ロバート・エガース”監督による期待の最新作はヴァイキングの物語!

主人公のアムレートを演じるのは“アレクサンダー・スカルガルド”(『ターザン:REBORN』『ゴジラVSコング』)。

ヒロインのオルガには『ウィッチ』でも主演を務めた、アニヤ・テイラー=ジョイ”が、『ライトハウス』でいつも以上の怪演を見せた“ウィレム・デフォー”が今作にも登場しています。

さらにニコール・キッドマンやイーサン・ホーク、『ダンサーインザダーク』以降映画から離れていたビョークなど、豪華なメンバーが出演しております。

スウェーデン出身のアレクサンダー・スカルガルドが子供のころから馴染んできたというヴァイキングの物語を壮大なスケールで映画化したいという願いを、ロバート・エガースが実現させたという本作。

『ライトハウス』ほどの難解さはないものの、日本にはあまりなじみのない北欧神話がベースとなっておりラストも意味の分からない人も多かったのではないでしょうか?

あらすじとともに解説・考察していければと思います。

物語のネタバレを含んでいますので、本作をまだ観ていないかたはご注意ください。

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ノースマン 導かれし復讐者

 

『ノースマン 導かれし復讐者』作品概要


公開日(日本):2023年1月20日

監督:ロバート・エガース

キャスト
アムレート(アレクサンダー・スカルスガルド)
グートルン王妃(ニコール・キッドマン)
フィヨルニル(クレス・バング)
オルガ(アニヤ・テイラー=ジョイ)
オーヴァンディル(イーサン・ホーク)
預言者(ビョーク)
ヘイミル(ウィレム・デフォー)

『ノースマン 導かれし復讐者』あらすじと考察

9世紀、スカンジナビア地域のオーヴァンディル王が統治する諸国――

オーヴァンディルの息子アムレートは、道化ヘイミルの立会いのもと、成人の儀式を執り行います。

しかし儀式の直後、オーヴァンディルの弟のフィヨルニルが謀反し、オーヴァンディルを殺害。グートルン王妃を連れ去ってしまいます。

フィヨルニルは10歳のアムレートも殺すように部下に命じますが、アムレートは一人ボートで島を脱出し、父の復讐と母を救出を誓います。

元ネタは「ハムレット」ではなく「アムレート伝説」

父を叔父に殺され母もまたその叔父に嫁いでしまう。主人公は狂人を装い復讐の機会を伺うという物語は、シェイクスピアによる悲劇「ハムレット」が元ネタになっていると思う人が多いかと思いますが、そのハムレットにも元になった物語があります。

サクソ・グラマティクスの著作『デンマーク人の事績』に登場するアムレート伝説です。
主人公の名前もそのままですね!!!

物語の後半には、アムレートが夜にしか抜けない剣を手に入れ、その能力によって助かるシーンがありますが、アムレート伝説にも剣が抜けないことで主人公が助かる場面が見られます。

数年後――

ロシアに渡ったアムレートは、ヴァイキングとして東ヨーロッパの各地で略奪を繰り返します。

ある夜、アムレートは焼き払った村の小屋で、スラブ族の盲目の預言者と出会います。

預言者はこれまで狂ったように略奪を繰り返していたアムレートに復讐のことを思い出させます。

翌日アムレートは、フィヨルニルは父に代わって統治していた国をノルウェーのハラルド王に奪われたという噂を聞きつけます。今ではアイスランドで農場を営んでいるといのです。

アムレートはフィヨルニルに売るための奴隷を乗せた船に、奴隷に変装して乗り込みます。その奴隷船の中で、白樺の森のオルガと仲を深めます。

アイスランドの農場に到着したアムレートは、奴隷として働きながら復讐の機会を伺います。

フィヨルニルはグルートン王妃と結婚し、2人の子供に恵まれていました。

アムレートは母と父を殺したフィヨルニルが結婚していたことにショックを受けますが、母は無理やり結婚させられたのだろうと、自らを納得させます。

フィヨルニルは「フレイ」を崇拝している

フィヨルニルの部下がキリスト教徒のことを馬鹿にするシーンが見られますが、当時スカンジナビア諸国で信仰されていたのは北欧神話です。

オーヴァンディルやアムレートが戦いの神であるオーディンを崇拝しているのに対し、フィヨルニルは豊穣の神フレイを崇拝しています。

フレイが支配した時代は豊かで平和だったとされ、戦いを避けて農場を作ろうとするフィヨルニルと似ているところがあります。

グルートン王妃がフィヨルニルは養子だということを指摘されているシーンがありますが、フレイもまた人質としてアース神族(オーディンやトールの親族)になっています。

フレイの子供の名前はフィヨルニルなので、フィヨルニルがフレイをもとにして作られたキャラクターだということは間違いはなさそうです。

次第にアムレートはフィヨルニルの信頼を得ていき、奴隷たちを束ねるリーダーのような存在になります。

オルガはフィヨルニルに美しい容姿を気に入られますが、うまく逃げかわしながらフィヨルニルの復讐の手助けをしてくれます。

アムレートはドラウグが守る夜にしか抜けない剣を手に入れ、夜な夜なフィヨルニルの部下たちを殺していきます。

ベオウルフとグレンデルの戦い

アムレートが夜な夜な殺戮を繰り広げる姿はまるで「グレンデル」のようです。

グレンデルは「ベオウルフ」に登場する怪物で、北欧の叙事詩です。

しかし、グレンデルは悪役として描かれており、このあたりからこの映画も主人公の立ち場が揺らいでいくことになります。

ついにグルートン王妃のもとにたどり着いたアムレートですが、母からオーディンバルから逃げたくてフィヨルニルに自らが謀反を起こすように頼んだと言われてしまいます。

怒り狂ったアムレートはグルートンの息子ソリルを殺し、心臓を抜き取ります。

アムレートはフィヨルニルに捕まり、心臓の在りかを拷問されますが、カラスに助けられ、逃げ出すことに成功します。

オルガとともに島から逃げ出すことに成功し、船の中でオルガは妊娠していることをアムレートに伝えます。

アムレートの頭によぎるのは、フィヨルニルが生きている限り一家は安全に暮らせないということ。アムレートは船から飛び出し島に戻ります。

アムレートはグルートンと息子のグンナルを殺すと、ヘルの門でフィヨルニルと対峙します。

裸で切り合う二人でしたが、相打ちとなり二人とも倒れます。

ワルキューレがアムレートのもとを訪れアムレートは無事ヴァルハラに行くことができました。

ラストの意味は?

アムレートとフィヨルニルの決闘が終わった後、ペガサスに乗った女性が空をかけているシーンにが映し出されます。

一見かなり意味が分かりませんが、北欧神話を信仰するものにとってはヴァルハラに行くということが生きる目的とも言えます。

ヴァルハラというのはオーディンの館で戦死者にとっての天国のようなものです。

ペガサスに乗った女の人はヴァルキリー(ワルキューレ)と言ってヴァルハラへ行く魂を選別しています。

北欧神話で特にオーディンを崇拝しているアムレートにとって、ヴァルハラに行くということは、オルガとともに家庭を築くよりもハッピーエンドだということになります。

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