『異人たち』あらすじと解説(ネタバレあり)

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日本を代表する名脚本家・山田太一の小説「異人たちとの夏」を、『荒野にて』『さざなみ』のアンドリュー・ヘイ監督が映画化。

1988年に日本でも映画化された喪失と癒やしの物語を、現代イギリスに舞台を移してヘイ監督ならではの感性あふれる脚色と演出で描き出しています。

『SHERLOCK シャーロック』のアンドリュー・スコットが主人公アダム、『aftersun アフターサン』のポール・メスカルがハリー、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルと『ウーマン・トーキング 私たちの選択』のクレア・フォイがアダムの両親をそれぞれ演じています。

山田太一による原作と映画版では、なぜ男女の恋愛から男性同士の恋愛に置き換えられたのか、あらすじとともに解説していきます。


『異人たち』作品概要

公開日(日本):2024年4月19日

監督:アンドリュー・ヘイ

キャスト
アダム(アンドリュー・スコット)
ハリー(ポール・メスカル)
アダムの父(ジェイミー・ベル)
アダムの母(クレア・フォイ)

『異人たち』あらすじと解説

ロンドンのタワーマンションに住む40歳の脚本家・アダム――

ある日の夜、ふと自分の住むマンションを見上げると、そのマンションには自分ともう1部屋しか人が住んでいないことに気づく。

その夜、ハリーと名乗る酔っぱらった年下の男がアダムの部屋を訪ねてくる。

このマンションはオレたち二人しか住んでいないから、せっかくだから一緒に飲もうと――。

しかしアダムは仕事が順調でないこともあり、その誘いを断ってしまう。

翌日、アダムは故郷であるサンダーステッド行きの電車に乗る。

生まれ育った家は形を変えずに残っていて、夜になると父親そっくりの男が声をかけてきてアダムを家に誘う。

誘われるがままに家についていくと、家には母親そっくりの女性がアダムを迎えてくれる。

アダムが12歳の時に両親は交通事故で無くなっていたが、両親は自分たちよりも年上になったアダムを変わらず子供として扱い、アダムも幼少を思い出し両親に接する。

アダムはマンションのエレベーターでハリーに再会すると、先日の誘いを断ったことを詫び、2人はアダムの部屋で飲むことになる。

お互いがゲイだと確認し、2人はすぐに恋人になる。

原作は山田太一による小説「異人たちとの夏」

本作は「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」など名作ドラマを担当した脚本家・山田太一による小説「異人たちとの夏」が原作となっている。

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同じマンションに2人しか住んでいないことがきっかけで……という設定は同じだが、原作はストレートの男性が主人公で、恋の相手は女性となっている。

映画版では物書きの主人公アダムはゲイという設定だが、これはアンドリュー・ヘイ監督の実体験を深く反映させたから。

原作にも亡くなったはずの両親が登場するが、【カミングアウト】という描写はもちろんなく、時代ごとのゲイに対しての反応が見て取れる。

1980年代に亡くなった両親はゲイに対して最終的には寛容に的な態度を見せるが、「世間が受け入れてくれない」とか「HIVが心配」「女々しい」といった言葉をアダムに投げかけてくる。

アダムよりも年下のハリーはゲイであることをあまり隠そうとはしていないが、両親から受け入れられておらず、孤独を抱えている。

アダムは亡くなった両親が故郷に現れるのを不思議に思いながらも、両親に会いに行くのをやめられなくなる。

アダムは両親が生きているうちに言えなかった、自分がゲイであるということをカミングアウトする。

母親は「寂しい人生だ」とかエイズのことを気にかけ、やはり1980年代の現代とは違う価値観でアダムに受け答える。

父親はアダムが女々しく、いじめられていることにも気づいていたが、うまく接してやれなかったことを後悔し、邂逅していく。

1980年代のゲイコミュニティの音楽

アダムが育った1980年代のイギリスは保守的で、同性愛は嫌悪の対象であった時代。HIVの蔓延も暗い影をゲイコミュニティを覆っていました。

アダムが見ているTV番組に「フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」という字幕が出ますが、「フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」は本作のメインテーマと言っても過言ではない「The Power Of Love」をはじめ、ゲイコミュニティを自由へと導いたアーティスト。

他にも「カルチャー・クラブ」「ワム!」「ペットショップ・ボーイズ」等、同性愛者であるアーティストによる楽曲が、本作には使われています。

ハリーとの仲も深まっていき、アダムはハリーを両親に合わせようとするが、ハリーを連れて行くと両親は家から出てこない。

アダムは亡くなったはずの両親といつまでも交流しているわけにはいかないと、両親との別れを決意する。

アダムは生きていれば両親と行きたいと思っていたファミリーレストランに連れて行き別れを切り出し、両親はハリーと仲良くするようにと言い残し消え去ってしまう。

アダムはマンションに帰ると、行ったことのなかったハリーの部屋に向かう。

部屋は腐敗臭であふれ、浴槽ではハリーが死んでいる。

ハリーは初めてアダムを誘いに行った夜、アダムに断られた寂しさに耐えかねて自殺していたのだった。

後味の悪いドンデン返し

原作でも主人公が部屋に上げるのをためらったため、実は恋人は自殺してしまっていたという結末は同じだが、印象がかなり違っている。

原作では主人公は両親に会うことで、生気をどんどん吸い取られ衰弱していく。

恋人からの助言もあり、主人公は両親との別れを決意するが、実は恋人も主人公の生気を吸い取っている。

さらに恋人は主人公が誘いを断ったことをかなり恨んでおり、最終的には主人公を同じ目に合わせようとするホラー色の強いラストとなっている。

映画版がアダムとハリーが抱き合ってラストを迎えるのは、自身がゲイであるために感じた孤独が時代が変わることで同じ想いをする人が少しでもいなくなってほしいというアンドリュー監督の想いかもしれません。

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