『悪は存在しない』あらすじと考察(ネタバレあり) ラストの意味とタイトルの考察

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『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー国際長編映画賞、カンヌ国際映画祭脚本賞、『偶然と想像』でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞するなど国際的に高く評価される濱口竜介監督が、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界3大映画祭のひとつであるベネチア国際映画祭で銀獅子賞受賞を果たした長編作品。

『ドライブ・マイ・カー』でもタッグを組んだ音楽家・シンガーソングライターの石橋英子さんへのライブ用映像のためにスタートした企画だが、ライブ用映像として『GIFT』が誕生し、さらに同じ映像素材を使い『悪は存在しない』が誕生した。

2023年・第80回ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したほか、映画祭本体とは別機関から授与される国際批評家連盟賞、映画企業特別賞、人・職場・環境賞の3つの独立賞も受賞した。

物議をかもしている「突然終わるラストは何だったのか?」ということと、タイトルに込められた意味をあらすじとともに考察していきます。

 

『悪は存在しない』作品概要


公開日(日本):2024年4月26日

監督:濱口竜介

キャスト
巧(大美賀均)
花(西川玲)
高橋(小坂竜士)
黛(渋谷采郁)
菊池葉月
三浦博之
鳥井雄人
山村崇子
長尾卓磨
宮田佳典
田村泰二郎

『悪は存在しない』あらすじ

長野県、水挽町――

代々水挽町で暮らし、便利屋として働く”巧”は、娘の”花”と二人で暮らしている。

毎日水を汲み、薪を割り、自然と共存しながら近隣の住民と協力して暮らしている。

そんな中、巧が住む町の近くにグランピング施設の建設が浮上する。

建設を企画するのは本来建設業とは無関係の芸能事務所であるプレイモード。

新型コロナの給付金目当てでの建設ということは目に見えていたが、町民たちはプレイモードの「説明会」を聞くことにする。

しかしプレイモードの担当者である”高橋”と”薫”による説明は、町民たちの理解を到底得るものではなかった。

水がきれいな水挽町は、都内からの移住者が蕎麦屋を営む者がいるほどだが、グランピング施設に置かれる予定の浄化槽では町の水は汚染される可能性が高い。

さらに管理体制に予算を裂くつもりがないらしく、山火事などの恐れから町民たちは社長と「コンサル」を含めて再度説明会を開くよう高橋らに要求する。

東京に戻った高橋と薫がそのことを事務所の社長とコンサルに説明するも、「給付金のために建設を遅らせることは出来ない」の一点張り。

しまいには巧を管理人になるように説得してくるように命令する。

高橋と薫は再び巧を訪問し、町のことを教えてほしいと懇願し、巻き割りを体験したり、そばを食べたり町の暮らしを体験する。

高橋は東京での暮らしを捨てて、自分がグランピング施設の管理人になってもいいくらいだと巧みに言う。

そんな中、花が行方不明になってしまう。

町民総出で捜索するが花は見つからない。

日も暮れたころ、巧と高橋は手負いの鹿の目の前に立ちすくむ花を発見する。

花を発見した巧は突然後ろから高橋の首を絞めて気絶させてしまう。

そして倒れた花を抱きかかえ、どこかに行ってしまうのだった。

『悪は存在しない』考察

なぜ巧は高橋を気絶させるのか?

巧は手負いの鹿、高橋は行き場を失った鹿

物語のラストで行方不明になった花を発見した巧と高橋。

手負いの鹿の目の前に立ちすくむ花を巧は助けることなく、なぜか高橋の首を絞めて気絶させてしまう。

移動中の車内で「グランピング施設の場所は鹿の通り道になる」と巧は高橋に説明する。

高橋は「だったら鹿は別の場所に行けばいい」と簡単に言ってのける。

このシーンで巧は煙草に火をつける。

移動中の車内で逃げ場のない高橋は車の窓を開けるほか逃げ場がない。

同じように鹿もほかに行く場所などないのです。

さらに別のシーンで高橋は「鹿が人間を襲うことはあるのか」と巧みに質問する。

巧は「襲うことはないが、手負いの鹿なら可能性はある」と返答する。

ラストシーンで巧が高橋の首を絞めるのは、巧(町民)が「手負いの鹿と同じ状態」だったからと考えられる。

水を大事にする水挽町の町民にとって、水が汚染されるということは死に値するということと言っても過言ではなありません。

さらに、社長やコンサルには無茶な要求をされ、水挽町の町民には理解を得ることが到底出来そうにない高橋は、行き場を失った鹿と同じ状態であるのだと考えられます。

行き場を失った鹿は人間に狩られることでしかバランスを保つことが出来きないのです。

生態系のバランスを保つための鹿猟とタイトルの意味

近くの森で鹿猟が行われていることが示唆されている本作ですが、鹿猟というのは生態系のバランスを保つためにおこなわれています。

人間が鹿を狩猟しないと、鹿は増えすぎてしまい生態系のバランスが崩れてしまうのです。

金儲けと自然との共存にも同じことが言えて、金儲けも度が過ぎると自然とのバランスが崩れてしまう。

今回は高橋らプレイモード側の金儲けが行き過ぎて自然とのバランスを壊す恐れがあったと考えられます。

ただし資本主義である以上、金儲けは「悪」ではありません。

そのうえで本作は「悪は存在しない」というタイトルがついたのではないでしょうか。

『悪は存在しない』のパンフレットの表紙。

“NOT”の部分だけ赤くなっているのは血を表現しているから?

青が血管の表現だとすると、NOTの部分が赤いのは正常なバランス(血の流れ)を保つためには多少の出血は必要ということだろうか?

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