『バビロン』あらすじと考察(ネタバレあり)

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『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督が、サイレントからトーキーへの転換点となった1920年代のハリウッドを舞台に撮り上げた『バビロン』。

第95回アカデミー賞では「作曲賞」「美術賞」「衣装デザイン賞」にノミネート、第80回ゴールデングローブ賞では「作曲賞」を受賞しています。

ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーら豪華キャストに加え『スパイダーマン』シリーズのトビー・マグワイアの怪演も見どころです。

 

このページでは以下のことに触れていきます
・あらすじをネタバレありで解説
・ラストでマニーはなぜ涙を流すのか考察
・前作『ラ・ラ・ランド』との関連性
・登場人物とハリウッドに実在したモデル

『バビロン』作品概要


公開日(日本):2023年2月10日

監督:デイミアン・チャゼル

キャスト
ジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)
ネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)

マニー・トレス(ディエゴ・カルバ)
エリノア・セント・ジョン(ジーン・スマート)
シドニー・パーマー(ジョバン・アデポ)
レディ・フェイ・ジュー(リー・ジュン・リー)
ジェームズ・マッケイ(トビー・マグワイア)

『バビロン』あらすじ(ネタバレあり)

【起】サイレント映画絶頂期

1926年、ハリウッドーー

サイレント映画によって儲けに儲かっていた映画関係者たちは、毎晩のように酒池肉林のパーティーを繰り広げています。

映画製作を夢見る青年マニー・トレスは、パーティーで登場させてる象の運搬からパーティーのボーイまで、ありとあらゆる雑用をこなしています。

富と名声を夢見て田舎から出てきたネリー・ラロイは、マニーの手助けでパーティー会場に入ることに成功します。

会場で一番目立って踊り狂っていたネリーは、重役の目に留まり、ドラックでぶっ飛んだ女優の代役として役を獲得します。

マニーは、サイレント映画のスタージャック・コンラッドに気に入られ、付き人として働くようになります。

翌日、ジャックの撮影に付き添ったマニーは、エキストラの反乱を鎮めたり、壊れたカメラの代わりのカメラを調達したりと、大活躍。

ネリーはセリフがない役だったものの、自由自在に涙を流せるという特技を駆使し、監督に気に入られます。

ジャックはベロベロに酔っぱらいながらも、いざ自分の出番となると、きっちりと演技を決めて見せます。

【承】トーキー映画の登場

1927年になると、映画はサイレントからトーキーへと変わっていきます。

ジャックもトーキー映画に出演しますが、評論家や観客からは酷評されてしまいます。

ネリーは女優としてそれなりの人気を獲得していましたが、まだ技術が確立していないトーキー映画の撮影現場に翻弄され、うまく本領を発揮できず、評論家からの悪評に悔しい思いをさせられていました。

一方マニーは、撮影現場を盛り上げていたジャズバンドに注目。黒人トランぺッターのシドニーを主役にした映画を撮ることで成功します。

【転】ネリーに翻弄されるマニー

マニーが次に注目したのは、かつて恋に落ちた相手であるネリーでした。

ネリーは悪評から目を背けるため、酒やドラッグでダメになっていましたが、清楚路線にイメージ変更し、主演映画を成功させようという戦略です。

しかし、ネリーは上流階級の映画関係者たちに馴染むことができず、さらにギャンブルでギャングに借金をして、マニーに泣きついてきます。

マニーはドラッグで設けている友人に金を用意させ、ギャングに金を返しに向かいますが、友人が用意した金はなんと映画の小道具でした。

偽札がギャングにバレたマニーは、命からがらアジトから逃げ出し、ネリーとともにメキシコに逃亡します。

しかし、ネリーは道中で姿を消してしまいました。

一方で、ジャックはやはりトーキー映画の舞台に対応することができず、拳銃自殺をしてしまいます。

【結】映画業界から離れたマニー

数年がたち、映画業界を離れ家族に恵まれたマニーは、かつて働いたハリウッドの撮影施設を訪れます。

新聞ではネリーが死亡したという記事がひっそりと掲載されています。

一人映画館を訪れたマニーが席に座ると、これまで映画の礎を築いた映画の映像が流れます。

その映像を観たマニーは一人涙を流すのでした。

『バビロン』考察

ラストでマニーが涙を流す理由

ラストでマニーが映画館を訪れると、様々な映画のシーンが流れ、それを観たマニーは涙を流します。

一見意味が分かりませんが、これにはちゃんと意味があります。

とてつもなく大きなものの歯車になりたい

マニーは自分の夢について「とてつもなく大きなものの歯車になりたい」とネリーに語っています。

ジャック・コンラッドはトーキー映画の世界では成功することは出来ませんでしたが、サイレント映画ではスパースターとして一時代を築きました。

ネリー・ラロイは、サイレント映画で注目されたものの、すぐにトーキーへと時代が変わり、撮影技術の確立していないトーキーの撮影現場でいかにして良い演技をするか必死になりました。

2人は時代とともに姿を消すことになってしまいますが、間違いなく今日(こんにち)まで続く映画の礎になったと言えます。

マニー・トレスはもまた時代に翻弄されながら、映画業界で成功と失敗を味わった人物の一人です。

マニーは映画業界からは離れてしまいましたが、間違いなく「とてつもなく大きなもの(今日まで続く映画の世界)」の歯車になることができたのだと感じ、涙を流すのです。

『ラ・ラ・ランド』からわかるミュージカル映画へのリスペクト

デイミアン・チャゼル監督の前作『ラ・ラ・ランド』はミュージカル映画へのリスペクトに溢れた作品です。

ミュージカル作品のアンソロジー映画『ザッツ・エンターテインメント』(1974年)を観るとよくわかりますが、『ラ・ラ・ランド』は、ミュージカル映画全盛期の色彩の使い方・セット・タップダンスなど大きく影響を受けていて、デイミアン・チャゼル監督がかなりのミュージカル映画好きであることがわかります。

マニーのキャラクターは、監督自身が投影されているのではないのかと思います。

ラストでマニーが涙を流すのも、これまで映画関係者が創ってきた歴史や努力はしっかりと自分のもとに届いていて、そのうえで映画を撮っていますよというメッセージにも思えます。

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映画のキャラクターと実在の人物

『バビロン』と登場する人物は1920~30年代にハリウッドに実在した人物をモデルにしています。

ネリー・ラロイ=クララ・ボウ

マーゴット・ロビー演じるネリーは『あれ』(1927年)で性的魅力のあるデパートガールを演じた”クララ・ボウ”がモデル。

クララ・ボウもネリーと同じく田舎の出身で、精神病の母親がいました。

1930年台になると、田舎のなまりと自由奔放すぎる私生活ゆえ、人気が衰えてしまいました。

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ジャック・コンラッド=ジョン・ギルバート

ブラッド・ピット演じるジャック・コンラッドはサイレント時代に劇場を女性客で満員にした二枚目俳優”ジョン・ギルバート”がモデル。

美人女優をとっかえひっかえ付き合い、4度結婚しているところも共通しています。

トーキー映画の初出演作品で、見た目とはかけ離れた甲高い声で、観客から笑いものにされ人気が衰えてしまいます。

ジャックがレインコートを着て『雨に唄えば』を歌わさせられるシーンがありますが、ジョン・ギルバートも『ハリウッド・レヴィユー』で同じことをしています。

38歳で映画の撮影中にアルコールが原因で亡くなってしまいます。

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レディ・フェイ・ジュー=アンナ・メイ・ウォン

リー・ジュン・リー演じるレディ・フェイ・ジューはアジア出身初のハリウッド女優”アンナ・メイ・ウォン”がモデル。

10代でハリウッドデビューするも、アジア人の【枠】はミステリアスな女性しかなく、ヨーロッパに渡るも、戦争の影響でハリウッドに戻ります。

親友がバイセクシャルだったこともあり、レズビアンと噂され差別に苦しみました。

シドニー・パーマー=ルイ・アームストロング/カーティス・モスビー

ジョヴァン・アデポ演じるシドニー・パーマーはルイ・アームストロングやカーティス・モスビーがモデル。

ルイ・アームストロングもシドニーと同じく、白黒映画で黒人ということを強調するために黒塗りをさせられました。

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