『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』あらすじと考察(ネタバレあり)

※この記事にはプロモーションが含まれています。

マーティン・スコセッシ監督がレオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンス、リリー・グラッドストーンら豪華キャストを迎え、実話を元に描いた西部劇サスペンス。

ジャーナリストのデビッド・グランがアメリカ先住民連続殺人事件について描いたノンフィクション小説「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作に、「フォレスト・ガンプ 一期一会」などの脚本家エリック・ロスとスコセッシ監督が共同脚本を手がけています。



『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』作品概要


公開日(日本):2023年10月20日

監督:マーティン・スコセッシ

キャスト
アーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)
モリー・カイル(リリー・グラッドストーン)
トム・ホワイト(ジェシー・プレモンス)
ウィリアム・“キング”・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)
リジー(タントゥー・カーディナル)
アンナ(カーラ・ジェイド・マイヤーズ)
レタ(ジャネー・コリンズ)
ミニー(ジリアン・ディオン)
ヘンリー・ローン(ウィリアム・ベルー)
ジョン・レン(タタンカ・ミーンズ)

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』あらすじ

オイルマネーで潤いまくるオセージ族

1920年オクラホマ州。

自らが所有する土地から石油が出たことにより、先住民のオセージ族は、白人が妬むほどの大金持ちになっていた。

アメリカ政府はオセージ族に金の管理は出来ないと決めつけ、生活費のような些細な出費にも白人の後見人の許可がないと引き出せないような仕組みを作っていました。

オセージ族が謎の死を遂げる事件が勃発していたが、地元警察は先住民の命を軽視しており、特に捜査はしていなかった。

そこに目を付けたのがウィリアム”キング”ヘイル。

キングはオセージ族を友人と呼び、オセージ族もまた学校や病院を建設してくれたキングをしたっていました。

戦争から帰還したキングの甥であるアーネスト・バークハートは、仕事を求めにキングの元へやってくるが、オセージ族と結婚すると多額な相続を得られるとキングから聞かされる。

アーネストの弟であるブライアンは、すでにオセージ族の女性とと結婚していた。

キングによるオセージ族殺害指示

アーネストはオセージ族の運転手となり、仕事で車に乗せたモリーと恋に落ち結婚する。

モリーは母親のリジーQ、姉妹のアンナ、レタ、ミニーと暮らしている。

ミニーはすでに白人男性と結婚しており、夫はどう見ても資産目当てで、アーネストをライバル視するようになる。

母親のリジーはすぐに亡くなるが、姉妹がいる以上アーネストは遺産を受け取ることが出来ないため、キングはアウトローのケルシー・モリソンにアンナを殺させてしまう。

さらにキングは、アーネストにミニー夫妻を殺し屋に殺させるように指示し、ミニー夫妻は家ごと爆破され殺されてしまう。

モリーはアーネストと結婚する前、同じオセージ族のヘンリー・ローンと結婚していたことが判明する。

ヘンリーはキングのことを信頼していましたが、もしかするとヘンリーにも相続権があるかもしれないと恐れたキングは、アーネスト経由でヘンリー・グラマーにヘンリー・ローンを殺すように指示しヘンリー・ローンは銃殺されてしまう。

身の危険を感じるモリー

モリーは身の回りの人間が相次いで殺されていることに身の危険を感じ、私立探偵を雇いますが、アーネストは私立探偵を殺してしまう。

こうしてモリーは旅行に出かけると言い、ワシントンに出向き、自らの身の危険を訴え、トム・ホワイトをはじめとする連邦捜査局が事件を捜査することとなります。

しかし、キングはモリーの命をも脅かそうとします。

糖尿病を患ってるモリーにインスリンを注射するのはアーネストの役目でしたが、医者と共謀しインスリンに毒薬を混ぜてアーネストに打つように指示します。

アーネストは毒薬を【気分がよくなる薬】と説明されていましたが、注射をするごとにモーリーの容態は悪くなっていきました。

証言するかもみ消すか

トム・ホワイトはアーネストとキングを捕まえ、殺し屋たちも次々と容疑を自白していきます。

アーネストは証言台でキングの悪事を話すようホワイトから促され、ホワイトも証言した後の身の安全を約束しますが、土壇場でキング側の弁護士から待ったがかかります。

キングの悪事を話すことはアーネスト自身の悪事も明るみに出るということであり、逆にもみ消してしまえば刑期は軽くなるというのです。

しかしアーネストはモリーのことも考え、真実を証言台で話し、刑を受け入れます。

モリーは真実を話したアーネストを優しく受け入れようとしますが、「私に打っていた薬は何だったのか?」という問いにアーネストは答えることが出来ず、モリーはアーネストの元から去っていくのでした。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』考察

原作は『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』

本作は2017年に出版されたデヴィッド・グランによる小説『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』を原作としています。

あらすじはほぼ映画と同じで、ノンフィクション小説でありオセージ族がオイルマネーで巨額な富を手に入れたこと、それを目当てに白人がオセージ族を殺していたこと、さらに先住民の命は軽視され、大した捜査が行われなかったことは実際にあった出来事に驚かされます。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン: オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生 (ハヤカワ文庫NF) 

ラジオ劇としてのラスト

ノンフィクション作品ラストシーンはナレーションで「その後○○は何歳まで生き幸せに暮らしました」というようなものが多く見られますが、本作ではラジオ劇の製作場面として登場人物たちのその後が説明されます。

この史実はどんな形であれ語り継がれるべきというメッセージが込められているように感じます。

ラジオ劇にはスコセッシ監督自らがナレータをしているほか、ジャック・ホワイトも登場しています。

アーネストの二面性

アーネストはモリーを本当に愛していたのか?という疑問が上がりそうな本作ですが、本当に愛していたという描写がしっかりと描かれています。

まずモリーと出会ったのは遺産の説明を受ける前ですから、本当に恋に落ちて結婚をしているようです。

キングからのめちゃくちゃな指示に対して「え?本当にそんなことやるの?」というアーネストの表情は面白く「モリーへの愛」と「金のためなら」という葛藤に揺らぐ様子はさすがはレオナルド・ディカプリオといった演技を観ることが出来ます。

特にインスリンに毒薬を混ぜるように指示される場面では「本当は気分がよくなる薬ではない」と気づきながらも自分自身をも騙し、最後の最後までモリー本当のことが言えない葛藤がとても滑稽です。



タイトルとURLをコピーしました