『ソーシャル・ネットワーク』『ゾンビランド』シリーズなどの俳優ジェシー・アイゼンバーグが長編初監督ということで、役柄のせいもあるのか優秀だけど早口で神経質な性格なんだろうなという勝手な想像から映画もどこか神経質な内容になるのかと思っていました。
しかし、とても分かりやすく「勘違いから空回りする親子」が描かれていて、観ているこちらも思春期を思い出しゾワゾワしてしまうほど人間観察が優れた内容となっていました。
かと思えば、ラストシーンではしっかりと次へ向かう希望が描かれており、早くもジェシー・アイゼンバーグ監督次回作が気になっています。
A24が製作&北米配給を手掛けているほか、俳優エマ・ストーンが設立した映画会社「フルート・ツリー」も製作に参加しています。
『ゾンビランド』で共演したジェシー・アイゼンバーグとエマ・ストーンが協力して映画を創ったということでなんだかワクワクしてしまいます。
『アリスのままで』でアカデミー賞・主演女優賞を獲得しているのジュリアン・ムーアが母エブリンを、ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シリーズのフィン・ウルフハードが息子ジギーを演じています。
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『僕らの世界が交わるまで』作品概要
公開日(日本):2024年1月19日
監督:ジェシー・アイゼンバーグ
キャスト:
エヴリン・キャッツ(ジュリアン・ムーア)
ジギー・キャッツ(フィン・ウルフハード)
ライラ(アリーシャ・ボー)
ロジャー(ジェイ・O・サンダース)
カイル(ビリー・ブリック)
アンジー(エレオノール・ヘンドリックス)
『僕らの世界が交わるまで』あらすじと考察
相手を受け入れようとしない母と息子
DV被害者のためのシェルター「安らぎの家」を運営するエブリン・キャッツは社会福祉の仕事を通して、困難な状況にいる人々を助けるために身をささげている。
一方でその息子で高校生のジギー・キャッツは、ネットのライブ配信で歌を披露することで小遣いを稼いでいる。
母親のエブリンの活動はごく限られた少数しか救えないのに対して、自分はネットを通して無限に人を笑顔にできるとエブリンを下に見ている節さえある。
エブリンは一軒家で大音量で繰り広げられるライブ配信をうるさいと思いながらも、何を言っても無駄だとあきらめているし、ジギーはライブ配信中はドアの前を赤いランプで照らしているのが目印だから邪魔をするなと言ってきかない。
一見するとジギーの思春期ならではの奇行が目立つが、エブリンも通勤中の車で大音量でクラシックを聴くため、ジギーが車で送ってほしいと言ってきても、さっさと一人で出て行ってしまうし、同僚がささやかな誕生日会をしているところに「うるさいからやめるように」と水を差したり、「あなたは入社して何年目だっけ」と世間話をしただけなのに「私はクビですか?」を恐れられている。
このあたりの「親子関係」を描くのが非常にうまく、お互いが「こいつを理解するのはもうあきらめよう」と思っているのが逆に共通点になっているのが面白い。
あまり登場しない父も自分の受賞記念日を2人が忘れていることに腹を立て「2人とも自己愛が強すぎる!」としかりつけますが、「いやあなたもだよ」と突っ込まずにはいられず、本物の家族を見せられているようなリアリティがあります。
第三者に見出された母親像と息子像
ジギーは同じ高校に通うライラに恋をしているが、ライラは聡明で興味があるのは政治や環境問題について。
ジギーは一生懸命にライラとおしゃべりしようとするが、ライラの話す硬派な話しにはついていけず、唯一の自慢であるネット配信でのフォロワーが2万人いるということに、ライラは一切興味を示さない。
ジギーはライラが参加する集会に参加しライラが朗読するマーシャル諸島の悲痛な歴史をテーマにした詩を聴く。
ジギーはそもそも集会の意味さえ分かっていないので、中学を卒業したときの気持ちという場違いな歌を唄い会場をしらけさせてしまう。
ジギーがライラから借りた詩を読みながら自慰行為をするシーンがあるが、自慰行為中にもライブ配信時に点滅させる赤いランプを付けている。
自分のため(金のため)のライブ配信も自慰行為も同じであるということがこのシーンでよくわかります。
ジギーは今から政治的になるにはどうしたらいいかとエブリンに相談するが、「小さい頃はデモ活動や一緒にプロテストソングを一緒に唄ったのにあなたは自分の世界に夢中になってしまった。今からでは遅い。」と突き放されてしまう。
そんな中、エブリンのシェルターにDV被害を受けた母子がやってくる。息子のカイルはジギーと同じ高校に通う好青年で成績もよい。
エブリンは自分の息子にあきらめてしまった「期待すべき息子像」をカイルに見出し、カイルが奨学金を受け大学に通う道を模索するようになっていく。
一方でジギーも自分では気づいていないが、母親が相手にしてくれない寂しさを埋めるためにライラに構ってほしいと思っています。
母親の政治活動に参加できない後悔が今になって現れ、同じく政治的な活動をしているライラに恋をしたのです。
世界が交わるにはどうしたらいいか
ジギーはライラが朗読した詩にメロディを付け、ライラの前で披露するとライラは感激してくれます。
しかし後日、ライブ配信でその歌を披露したところ90ドルも稼げたと自慢するとライラはマーシャル諸島を搾取されたと激怒し、去ってしまいます。
エブリンはカイルの素直さにどんどんのめり込んでいき、食事に誘ったり、作りすぎてしまったと言い夕食を持って行ったりとエスカレートしていきます。
しかしカイルは大学進学は望んでおらず、父と車の整備工場で一緒に働くつもりでいました。
エブリンは「整備工場で働くことも素晴らしいが私はその100万倍も価値があることを提案している」と言いますが、カイルにいい加減にしてほしいと怒られてしまいます。
カイルは大学に行かなければ母もろともシェルターから追い出されてしまうのではないかと、恐れていたのです。
ジギーはふとエブリンのシェルターを訪れますが、ライラにしたことの何が悪かったのかと自分を見つめなおしたからです。
そしてエブリンのやっているシェルターの活動は弱者を救ういわば政治的な活動だし、何よりエブリンはデモ活動にも参加する程なわけだからエブリンと向き合うことがライラにも近づける理由になるかもしれないと考えたのです。
一方でエブリンもジギーの配信を初めて観てみます。カイルへの接し方に失敗してしまい、今どきの若者を知らなければと思ったのでしょう。「今どきの若者って自分の息子じゃん」と気づいたからジギーの活動を見てみようと思ったのでしょう。
それは2人の世界がこれから交わっていく第一歩になるのかもしれません。
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