『ソウルの春』あらすじと史実(ネタバレあり)　史実にここまで興味を持たせる映画作品の鑑。

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監督：キム・ソンス

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『ソウルの春』あらすじと史実

実際に起こった韓国史をベースにした物語

本作は1979年10月26日、大統領であるパク・チョンヒが殺され、同年12月12日に起こったクーデターが史実をもとに描かれています。

たった一夜にして国がひっくり返るほどのこのクーデターは、軍部によって隠蔽され、事件の詳細が分かったのは十数年たってから……

ただし実際に反乱軍内でどのような話しや諜報があったかはいいまだに謎が多く残っており、キム・ソンス監督は史実をそのまま描いても面白くなければ意味がないと考え、史実を交えながらスリリングあふれる展開で物語は進行していきます。

タイトルの意味

『ソウルの春』というタイトルはなんだかのほほんとしたイメージをしてしまいます。

銃撃されたパク・チョンヒ大統領は独裁体制をしいていました。

しかしこの独裁者が殺されたことで、韓国国民は民主化への動きが活発化してくのです。

この時代を”ソウルの春”と呼んだことから本作のタイトルとなっています。

本作ではやっと到来した春の時代が一夜にして元に戻ってしまたということが描かれています。

【ハナ会】チョン・ドゥグァン少将

パク・チョンヒ大統領銃殺事件の捜査司令官に就任したのはチョン・ドゥグァン少将。

【ハナ会】というのは陸軍士官学校の同郷出身者がの相互扶助を目的とした組織で、パク・チョンヒが1961年に起こしたクーデターを成功させた際に、パレードを実施していてパク・チョンヒから活動を後押しされた組織。

チョン・ドゥグァンはハナ会に染まった人間を各部隊に送り込み、組織を操っていきます。

【陸軍参謀総長】チョン・サンホ大将

陸軍参謀総長のチョン・サンホはハナ会とチョン・ドゥグァンの行動を危険視しますが、国防総長はハナ会に下手に手出しをすれば反発を喰らうことは必至で現状維持を決め込みます。

このままでは首都警備の座もハナ会に握られてしまうと危惧し、白羽の矢を立てたのがイ・テシン少将です。

しかし、パク・チョンヒ大統領の銃撃の現場にいたからという理由で、チョン・サンホはハナ会に拉致されてしまいます。

【首都警備司令官】イ・テシン少将

イ・テシン少将は軍人の鑑のような人物で、権力に興味がなく首都警備司令官という花形も一度は断りますが、チョン・サンホの懇願によってその座に着きます。

演じるのは『無垢なる証人』でも観客を魅了した二枚目俳優のチョン・ウソン。

実際の人物はここまで男前ではないようで、役名が変わっている。実際はチョン・テワン。

国境警備の軍までもを動員

左遷に追い込まれたチョン・ドゥグァンはハナ会の組織網を総動員しクーデターを企てます。

チョン・ドゥグァンの指揮系統にあるのは北朝鮮との国境を警備する空挺旅団。

国境を離れてはいつ北朝鮮が攻めてくるかわからないという状況にもかかわらず、チョン・ドゥグァンは空挺旅団を使い首都・ソウルを占拠しようとします。

首都警備司令官であるイ・テシンも指揮下の軍をソウルに向かわせますが、各部署にいるハナ会の人物や、ハナ会が有利と見るやハナ会の肩を持つ軍人たちに翻弄され、結果としてチョン・ドゥグァンはソウルを占拠してしまいます。

映画で描かれたその後

映画はチョン・ドゥグァンがソウルを占拠し、正義であったイ・テシンやチョン・サンホが牢獄に入れられ終了します。

実際にチョン・サンホは軍法会議にかけられ懲役7年の刑が宣告。1997年に再審で無罪判決が出ています。

イ・テシン(チャン・テワン)は退役させられ、2年間自宅に軟禁。その間に父親が憤死し大学生だった息子が自殺してしまいます。

チョン・ドゥグァンはというと、翌年の1980年に大統領に就任します。

大統領に就任前も光州での民主化デモを鎮圧するため軍隊を派遣し市民を虐殺するという悪の権力者の限りを尽くします。

日本では韓国史はあまりなじみは無く、このクーデターを知らない人も多かったと思います。韓国でもこの事件を知らない若者は多いようです。

しかし韓国では『パラサイト 半地下の家族』を超えるメガヒットを記録。ここまでスリリングでエキサイティングに史実を描き多くの人に史実に興味を持たせてしまうキム・ソンス監督に感服させられます。

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