『時々、私は考える』作品概要
公開日(日本):2024年7月26日
監督:レイチェル・ランバート
キャスト:
フラン(デイジー・リドリー)
ロバート(デイブ・メルヘジ)
ギャレット(パーベシュ・チーナ)
キャロル(マルシア・デボニス)
イゾベルミーガン・ステルター
ソフィーブリタニー・オグレイディ
『スター・ウォーズ』シリーズのデイジー・リドリーが主演・プロデュースを手がけ、不器用な女性が恋や仕事仲間との交流をきっかけに生きることの愛おしさを知っていく姿を描いたヒューマンドラマ。
2023年インディワイヤー誌の「注目の女性監督28人」に選出されたレイチェル・ランバート監督が、ステファニー・アベル・ホロウィッツ監督による19年製作の同名短編映画を長編映画化した。
フランはなぜ自分の死を空想するのか?ということを中心に本作を考察していければと思います。
『時々、私は考える』あらすじ
オレゴン州アストリアの閑散とした住宅に住むフランは、職場と自宅を往復するだけの淡々とした日々を送っている。
職場では同僚のたわいのない会話を無視するわけでも参加するわけでもなく、黙々と業務に取り組み、帰宅後はワインとカッテージチーズを食べ就寝する。
そんなフランの唯一の楽しみは自分の死の妄想にふけること。
窓から見えるクレーンに吊るされてみたり、美しい森や浜辺で自分が死んでいる様子を夢想するのだ。
そんなある日、定年退職したキャロルの後任として、ロバートが入社する。
ロバートとメールでやり取りする中、ロバートはこれまで働いたことがないのだとフランに告白しフランはその秘密を守ることを約束する。
仕事終わりに映画を観に行くことになった二人は、会話はぎこちないものの確実に距離が縮まっていく。
翌日フランはロバートの家で映画を観る。
二人はキスをし良い感じになるものの、ロバートは二度の離婚歴があることをフランに打ち明ける。
週末にはフランとロバートはレストランの店員に誘われたホームパーティに参加する。
パーティの参加者は殺人の容疑者を探し出すロールプレイングゲームをして楽しむが、フランが発表したユニークな死に方に参加者たちは感心する。
パーティが終わり、ロバートはフランのことをもっと知りたいと様々なことを質問するが、フランは拒絶し「だから結婚生活が続かないのね」と言い放ってしまう。
家に帰ったフランはロバートに言ってしまったことを後悔し、日曜日を丸一日寝て過ごす。
翌日、フランは職場の同僚たちにドーナツを買っていくことを決意する。
ドーナツ屋に行くと定年退職し、クルーズ旅行に出かけたはずのキャロルと遭遇する。
キャロルは定年後の旅行のために懸命に貯金をしてきたものの、夫が脳卒中になってしまったのだ。
そのことにフランはキャロルと一緒になって悲しむ。
職場に着くと同僚たちはフランが差し入れを買ってきたことに驚くが、皆喜んで受け入れてくれる。
同僚たちがドーナツに夢中になっている中、フランはロバートを給湯室に呼び出し、週末のことを謝罪する。
ロバートは謝罪を受け入れ二人はハグをするのだった。
なぜフランは死を空想するのか?
職場と自宅を往復するだけの生活を送るフランの数少ない楽しみは、自分の死を空想すること。
原題は「Sometimes I Think About Dying」で、翻訳すると時々私は死について考えると、かなり直接的です。
フランが死について考えるのは現状の生活に不満があるからです。
孤独を愛しているわけではない
よく孤独を愛する人物が主人公の物語がありますが、フランはそうではなく同僚たちの会話にもどこか入りたそうな表情を見せます。
実は脚本の段階ではフランの気持ちを表現するナレーションがあったようですが、全てカットしデイジー・リドリーの演技だけで表現されています。
『スター・ウォーズ』のレイ役で力強いイメージが強い女優ですが、とても繊細な演技を見せてくれてその幅の広さはとても意外です。
空想する死に方は森の中や浜辺、蛇が近寄ってきたりと自然に関連する死に方が多く、誰にも迷惑を掛かからない死に方です。
これは迷惑をかけることを恐れるあまり、同僚たちと仲良くなる機会を失いズルズルと過ごしてしまったということが考えられます。
そこに現れるのがロバートです。
フランは積極的に誰とでもコミュニケーションをとろうとするロバートの出現を自分が変わることが出来るきかっけだと考え、ロバートからの誘いを断りません。
死因をすらすらしゃべれるのは役割がしっかりしているから
ホームパーティでのロールプレイングゲームでフランが死因についてすらすらしゃべることが出来るのは、普段から死について空想しているからということもありますが、「死因についてしゃべらなければいけない」という役割がしっかりと与えられているからです。
フランは業務上での役割はしっかりとこなしているようですが、それだけではうまくいかないのが職場というもの。
同僚たちの会話というのは意味がないものがほとんどで、フランはいてもいなくてもどちらでもいいのです。
フランがロバートが積極的に質問をしてくることに対し「だから結婚生活が続かない」とひどいことを言って突き放してしまうのは、親密になればやはり迷惑をかけてしまうかもしれないということを恐れたから。
フランが家に帰り一日中後悔するシーンがあるのは、単に離婚歴が二回もあるヤバい男だから突き放したのではないかと観客が考えられてしまうのを避けたかったからかもしれません。
ラストシーンの観葉植物
給湯室でロバートとハグするフランの周りには観葉植物であふれています。
これはフランが職場にも自己を持ち込めたという表現だと考えられます。
フランが死を空想するのは自然の中が多いというのは先に書きましたが、ロバートにひどいことを言って家で後悔し朝を迎えるときもフランの家には観葉植物であふれています。
フランの世界観は自然のものであふれていて、職場もフランの世界観の一つとしてフランが安心できる場所になったというハッピーエンドです。
ちなみに鹿が登場するシーンが多いですが、鹿は自然の象徴で、善悪の概念がありません。
ロバートが積極的にコミュニケーションを取ろうとするもの、逆にフランがコミュニケーションをうまく取れないのも善でも悪でもないという表現だと考えられます。
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