『ファミリー・ツリー』『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』の名匠アレクサンダー・ペイン監督が、『サイドウェイ』でもタッグを組んだポール・ジアマッティを主演に迎えて描いたドラマ。
ポール・ジアマッティが教師ポール役を務め、メアリー役を『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』『ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男』のダバイン・ジョイ・ランドルフ、アンガス役を新人のドミニク・セッサが担当。
脚本はテレビシリーズ『23号室の小悪魔』『ママと恋に落ちるまで』などに携わってきたデビッド・ヘミングソン。第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した。
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』作品概要
公開日(日本):2024年6月21日
監督:アレクサンダー・ペイン
キャスト:
メアリー・ラム(ダバイン・ジョイ・ランドルフ)
アンガス・タリー(ドミニク・セッサ)
ミス・リディア・クレイン(キャリー・プレストン)
テディ・クンツェ(ブレイディ・ヘプナー)
アレックス・オラーマン(イアン・ドリー)
パク・イェジュン(ジム・カプラン)
ジュディ・クロットフェルター(ジリアン・ビグマン)
スタンリー・クロットフェルター(テイト・ドノバン)
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』あらすじ
1970年12月――
寄宿制のバートン高校では、生徒も教師も家族とのクリスマス休暇を楽しむため帰省の準備に忙しい。
校長室に呼ばれた古代史の教師ポール・ハナムは事情があって家に帰れない5人の生徒の面倒を見るように言い渡される。
ハナムは口が悪く融通が利かない教師で、生徒のみならず周りの教師からも嫌われていた。
学校に残ることになった5人のうちの生徒の一人、アンガス・タリーは、休暇中に母親とセント・キッツ島にバカンスに行くことになっていたが、母親が再婚した夫と急遽新婚旅行に行くことになり約束を反故にされてしまう。
同じく学校に残ることになった料理長のメアリー・ラムは、ベトナム戦争で息子のカーティスを亡くしたばかりだった。
ハナムは休暇中にもかかわらず、朝早くから生徒たちを起こし、勉強をさせ続けている。
そんな中、生徒の一人のスミスの父親がヘリコプターでスミスを迎えに来る。
息子以外の生徒もスキー旅行に連れて行くという計らいに皆喚起するも、アンガスだけ母親と連絡がつかず、許可を得ることが出来ず、学校に取り残されてしまう。
どうしても学校から抜け出したいアンガスは、ホテルに泊まろうとしているところをハナムに見つかり、逃走中に肩を脱臼してしまう。
アンガスの自業自得とはいえ、生徒をケガさせてしまったハナムはクビになってしまうと嘆くが、アンガスはハナムを父親だと嘘をつき、病院から両親に連絡がいかないように計らう。
病院の帰りに立ち寄ったダイナーで、2人は学校で事務員として働くクレインに出会う。
クレインにホームパーティに誘われ、メアリーと3人でパーティに参加する。
女性に慣れていないハナムはクレインに優しくされるも、クレインには彼氏がいることを知る。
アンガスも同世代の女の子といい感じになるが、酒に酔ったメアリーが亡くなった息子を思い出し泣き出してしまう。
休暇中で今日が一番楽しいからメアリーを学校へ送り届けたらパーティに戻ろうというアンガスにハナムは本当はおまえも父親が迎えに来れば私は一人で気ままな休暇を過ごせたと言ってしまう。
アンガスは怒り「父親は死んだ」と言い放つ。
クリスマスの夜。メアリーの手料理が並ぶテーブルにアンガスは「こんな家庭的なクリスマスは初めてだ」と喜ぶ。
アンガスは休暇中にボストンに行ってスケートをしたりクリスマスツリーを見たいとハナムにお願いする。
メアリーに諭され、社会見学と称しボストンに行くことにする。
メアリーも妊娠中の妹に会うため同行する。
ボストンに着き、しばらく観光を楽しんでいたが、突如アンガスが逃げ出しタクシーに乗り込もうとする。
ハナムが事情を聴くと、アンガスの父親は統合失調症になり精神病院に入れられていて会いに行きたいというのだ。
そういう事情ならばと2人は父親がいる病院に向かう。
父親はアンガスのことを覚えていながらも、話は支離滅裂で、2人は病院を後にする。
メアリーは妹に会ったことで姪っ子のためにも働かねばと吹っ切れる。
アンガスの母親がアンガスが病院にいったことを知り新しい夫と学校に乗り込んでくる。
アンガスは素行不良のため学校を転々としていたが、次こそは陸軍学校で鍛えなおさせると脅されている。
アンガスの両親の教育方針が間違っていると感じたハナムは、自分がアンガスを連れて行ったと嘘をつき、両親を納得させる。
学校をクビになってしまったハナムだったが、これでよかったと納得する。アンガスはハナムに感謝しバートン高校に残るのであった。
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』考察
3人の”孤独”とそれを埋めるもの
学校に残された3人に共通するのは、3人がそれぞれ何かを失い、孤独だということだ。
メアリーとアンガスはとても分かりやすい。
メアリーは一人息子をベトナム戦争で亡くしてしまい、アンガスは父親が精神病院に入ってしまったこともあり、両親からの愛情が足りていない。
一方でハナムは若いころに母親を亡くし15歳で家を出て以来ずっと一人だ。
一人で懸命に生きてきたからこそ、チャラチャラしたことが許せず、融通が利かず生徒からも先生からも嫌われてしまっている。
自分と同じ想いを味わえ、というやつだ。
古代史を教えているというのも「過去に捕らわれている」というキャラクターに拍車をかける。
……と思いきや、実は大学時代は友人を車で轢き殺しかけたため、大学を卒業していなかったりするのも面白い。
アンガスとメアリーとの出会いは自分だけでなく、人それぞれ不安や悩みを抱えているのだとハナムに気づかせる。
小さな巨人
アンガスとハナムが2人で映画を観るシーンがある。
流れているのはダスティン・ホフマン主演の『小さな巨人』。
『小さな巨人は』インディアンに両親を殺されながらも、インディアンに育てられた主人公ジャックの一生が描かれている。
インディアンに育てられたジャックは、17歳の時に白人との戦いのため戦場に行くが、負けそうになったところを自分が白人なことを利用し白人に救出してもらう。
その後も白人のコミュニティとインディアンのコミュニティを行ったり来たりしながらジャックは120歳まで生きることになる。
さらに『小さな巨人』で描かれているのは、”リトルビッグホーンの戦い”だ。
歴史的にみるとインディアンは白人に住居を奪われてしまった民族ということになるが、ジャックは白人部隊に見事一泡吹かせることに成功している。
ハナムもまた、はたから見れば失職を余儀なくされた堅物教師だが、アンガスに愛情を与え、更生させた勇気ある人物と考えることが出来る。
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