『秘密の森の、その向こう』あらすじと考察(ネタバレあり)

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長編デビュー『水の中のつぼみ』から『トムボーイ』『燃ゆる女の肖像』など、複雑なジェンダーをセクシャルにそして繊細に描き出すことで観客を魅了し続ける”セリーヌ・シアマ”監督。

本作『秘密の森の、その向こう』では第71回ベルリン国際映画では、コンペティション部門作品に出品。

ロッテントマトのトマトメーターは97%の支持を得るなど、過去作以上の注目を集めています。

これまでの作品とは一変して、主人公は8歳の少女。さらに自分と同い年の時代の母と出会うファンタジー作品に挑戦。

これまでの作品でも見ることができた、登場人物の繊細な心境の描写は健在で、今作では双子の俳優ジョセフィーヌ&ガブリエル・サンス姉妹が可愛くも繊細に役を演じきっています。

『秘密の森の、その向こう』作品概要

公開日(日本):2022年9月23日

監督:セリーヌ・シアマ

キャスト
ネリー(ジョセフィーヌ・サンス)
マリオン(ガブリエル・サンス)
ネリーの母(ニナ・ミュリス)
ネリーの祖母(マルゴ・アバスカル)
ネリーの父(ステファン・バルペンヌ)

 

『秘密の森の、その向こう』あらすじと考察

8歳の少女ネリーは、大好きなおばあちゃんを亡くしてしまいます。

ネリーと両親は、かつてネリーのお母さんが少女時代を過ごした家(ネリーのおばあちゃんの家)におばあちゃんが遺したものを片付けに向かいます。

お母さんは子供のころのノートを手に取り「持って帰るには気が滅入る」と、過去を整理するにはまだ時間がかかる様子です。

夜中に目が覚めてしまったネリーもまた、リビングで寝ている母のもとへ行き「おばあちゃんにさようならをうまく言えなかった」と、お母さんに抱きしめてもらいます。

翌朝、朝食を用意してくれたお父さんに、お母さんが悲しんでいることを伝えるネリー。

ネリーはお父さんよりもお母さんの悲しみを理解しているつもりでした。

しかし、お父さんからは「お母さんが出て行ってしまった」と聞かされ、ネリーはショックを受けます。

おばあちゃんが亡くなってしまい、お母さんの運転する車でおばあちゃんの家へ向かうシーン。

ネリーは後部座席からお母さんに食べ物や飲み物を食べさせてあげます。

このシーンはもちろん親子の仲の良さを表現するものでもあるのですが、ネリーがお母さんの心情を察知して慰めてあげるという重要なシーンです。

同時に母と娘という関係性が少し揺らぐシーンでもあります。

ネリーはお母さんの悲しみをわかっているつもりだからこそ慰めようとするし、お父さんにもお母さんの悲しみをわかってあげてねというセリフをしゃべります。

しかし、お母さんの悲しみはネリーの想像を超えていて、お母さんは黙って出て行ってしまいます。

ネリーはそのことに大きなショックを受けます。

森に遊びに出かけたネリーは、一人の少女に出会います。

「手伝って」と言われ枝を運んでいくと、そこには木や枝で作った小さな”小屋”がありました。

それはお母さんが小さいころに作ったと聞かされた小屋に特徴がそっくりです。

ネリーが名前を尋ねると、その少女はお母さんと同じ名前の「マリオン」と名乗ります。

そのとき、森を雷雨が襲い二人の少女はマリオンの家に走ります。

マリオンの家に着くなり、ネリーは驚きます。

その家はネリーのおばあちゃんの家にそっくりでした。

中へ入るとキッチンも廊下もトイレもおばあちゃんの家と同じで、お母さんの部屋には昨日お母さんと一緒に見た思い出のノートがあります。

別の部屋では、マリオンのお母さん(若きネリーのおばあちゃん)らしき人物が眠っています。

ネリーは驚きを隠せず、マリオンに別れを告げ、森の向こうの自分のおばあちゃんの家へ走ります。

そこにはちゃんのと自分のおばあちゃんの家がありました。

翌日、ネリーは手作りの小屋でマリオンに歳を聞くと、マリオンはネリーと同じ「8歳」と答えます。

自分と同い年の母と出会うという”セリーヌ・シアマ”監督作品では初めてとなるファンタジー作品です。

セリーヌ・シアマは本作を創るにあたり、スタジオジブリの作品にインスピレーションを受けたと語ります。

中でも森の中で不思議な体験をするという部分で『となりのトトロ』。

時代を超えて会うはずのない人物と出会い、心境が変わっていくという部分で『思い出のマーニー』が本作に大きな影響を与えています。

マリオンの家に行き遊んでいると、マリオンのお母さんが現れ、マリオンが外で遊んだことを叱ります。

マリオンは3日後に手術を控えているので安静にしていなければいけないようです。

マリオンのお母さんは脚が悪く、マリオンも手術をしなければお母さんと同じように杖がなければ歩けなくなってしまいます。

ネリーはおばあちゃんの脚がこんなにも前から悪かったんだと知り、胸を痛めます。

次の日も二人はマリオンの家で遊びます。

マリオンは手術への不安、ネリーはお母さんがいなくなってしまったことを打ち明け、お互いに励ましあいます。

マリオンにはネリーにマリオンの家に泊まりに来るように誘い二人は約束をします。

しかし家に戻ると、お父さんは早めに片付けが終わったから今日で家に帰ろう、ネリーの家にはまた今度止まればいいと言い出します。

ネリーはまた今度はないから絶対に今日マリオンの家に泊まると言い張りお父さんを何とか説得します。

マリオンの家に行くと一緒にクレープを作ったり、その日はネリーの誕生日でお祝いをしたりします。

次の日はゴムボートで湖に出てたり、大冒険でした。

そしてマリオンは手術のため病院へ向かいます。

今度はおばあちゃんにさようならを言うことができました。

ネリーが家に帰るとお母さんが戻ってきているのでした。


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