『パラサイト 半地下の家族』あらすじ・考察(ネタバレあり)

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『殺人の追憶』『グエムル 漢江の怪物』『スノーピアサー』の監督“ポン・ジュノ”と“ソン・ガンホ”が4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞。

第92回アカデミー賞では最多4部門(作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞)受賞という快挙を果たした。

家族全員が失業中で半地下暮らしの貧しい生活を送っているキム一家。

ある日、ひょんなことから長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師を務めることに。

これをきっかけに、キム一家はパク一家にパラサイトしていく……

前半は貧富の差をユーモアあふれる喜劇で描き、後半は想定外な惨劇の連続に思わずスクリーンから目を離せなくなること間違いなしです!




『パラサイト 半地下の家族』作品概要

公開日(日本):2020年1月10日

監督:ポン・ジュノ

キャスト
キム・ギテク(ソン・ガンホ)
パク・ドンイク(イ・ソンギュン)
パク・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)
キム・ギウ(チェ・ウシク)
キム・ギジョン(パク・ソダム)
ムングァン(イ・ジョンウン)
キム・チュンスク(チャン・ヘジン)
パク・ダヘ(チョン・ジソ)
パク・ダソン(チョン・ヒョンジュン)
ミニョク(パク・ソジュン)

『パラサイト 半地下の家族』あらすじ

一家の大黒柱である“ギテク”は、事業に何度も失敗するも超楽天的。

元ハンマー投げの選手の母“チュンスク”は腕っぷしが強く、甲斐性なしの父に強く当たります。

長男“ギウ”は3度連続で大学受験に失敗し、その妹の“ギジョン”はデザインの才能があり美大を目指すものの、予備校に行くお金がありません。

そんな一家全員が失業中のキム一家は、半分地下に埋まった激安アパートに暮らしています。

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ある日、ギウはエリート大学に通う友人“ミニョク”が土産の水石を持ってキム家を訪れます。

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ミニョクは留学で留守にする間、大富豪の娘の家庭教師の代理をギウに頼みに来たのです。

ミニョクは女子高生であるその娘のことが好きで、唯一信頼がおけるギウ以外には依頼したくなかったのです。

ギジョンに書類の偽造を手伝ってもらい、大富豪パク家へ面接に向かうと、家政婦の“ムングァン”若くて美しい妻“ヨンギョ”が出迎えます。

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教え子は、かわいらしい女子高生“ダヘ”です。

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家は有名建築家が手掛けた大豪邸で、以前はその建築家が住んでいました。

ヨンギョは初日の授業を見学したうえで雇うか決めるようですが、3度の受験に失敗している受験のプロギウは、あっという間にヨンギョとダヘの信頼を勝ち取ります。

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授業が終わり帰ろうとすると、インディアンの格好をした少年がギウにおもちゃの弓矢で襲いかかります。

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ダヘの弟“ダソン”です。

ヨンギョはダソンを美術の才能はあるが落ち着きがなくて困っている。

美術の家庭教師を付けても、1か月を持たずやめてしまうと言います。

ギウは妹のギジョンを会ったことはないが、有名な美術の講師だといつわり紹介することを思いつきます。

後日、ギジョンもギウ同様のハッタリをかまし、ダソンの専属の美術講師となることに成功します。

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パク家には専属の運転手がついています。

若くて体格のいいその男はギジョンに気があるようで、口説きにかかりますがギジョンは相手にしません。

ギジョンはあることを思いつき、自分の履いているパンツを後部座席の隙間に忍ばせます。

後日、車内でパンテツを見つけたパク社長は、自分の車でみだらな行為をしたとしてその運転手をクビにしてしまいます。

ギウとギジョンはそのすきをつき、父のギテクを運転手として紹介します。

もちろん自分たちの父としてではなく、以前なんどか送り迎えを頼んだことがある運転手としてです。

そしてギテクも自慢の運転テクニックでパク社長の心をつかみ、正式に運転手として採用されます。

パク家で残る邪魔者は、家政婦のムングァンのみとなりました。

ムングァンはパク家が住み始める前からその家で家政婦を務めていて、公私ともに非の打ちどころがありません。

しかし、ギウはダヘからムングァンは桃のアレルギーだということを教えてもらいます。

早速一家は行動にとりかかり、桃の粉をこっそりムングァンに振り掛けます。

咳が止まらなくなってしまったムングァンはそれでも必死に働きます。

しかし、ギテクはヨンギョに「ムングァンは肺結核だ」と嘘をつきクビにさせてしまいます。

急きょ新しい家政婦を探さなくてはならないパク一家。

ギテクは特別な会員だけが利用できる家政婦サービスを紹介し、妻のチュンスクはパク一家の家政婦として採用されます。

こうして一家全員が寄生することに成功したキム一家。

ギウとダヘはこっそり恋仲になり、ギウはダヘと結婚するというさらなる野望を抱き始めます。

そんなある日、パク一家がキャンプに出かけていきました。

キム一家がリビングで酒盛りをして楽しんでいると、クビになったはずの家政婦ムングァンがインターホンを鳴らしています。

ムングァンは忘れ物を取りに来たと言い、物置に入っていきます。

一家が後をつけると、物置には隠し扉があり、地下につながっていました。

なんと地下にはムングァンの夫が隠れて暮らしていたのです。

その男は事業に失敗し、借金取りから逃れるため地下に隠れていて、パク一家はそもそもこの地下のこ存在を知らないのです。

ムングァンは必死に内密にしてほしいと頼みますが、キム一家は家族に寄生していることがバレてしまい形成が一気に逆転します。

そこにパク家の電話が鳴ります。

パク一家が急きょキャンプから帰ってくるというのです。

キム一家はムングァンの夫を棒に縛り付け、地下から這い上がってこようとするムングァンを突き落します。

チュンスク以外の3人は一目散に自宅に逃げますが、大雨の影響で半地下の家は壊滅してしまいます。

翌日、キム一家ではダソンの誕生日会が開催され、たくさんの人が集まります。

ギテクは地下の2人の肩を付けるつけるため水石を持って地下に入ります。

ムングァンは突き落された際、頭を打ち死んでいました。

夫は気が狂いギテクから水石を奪いギテクの頭を何度も打ち付けます。

地上に這い上がると、誕生日会でにぎわう人々は大混乱。

人々を切りつけますが、ギテクが取り押さえ刺し殺します。

パク社長は狂った男の臭いに耐えきれず、嗚咽をすると、それを見ていたギテクはパク社長を刺し殺してしまいます。

事件はたちまちニュースになり世間に知らされます。

ギテクは指名手配されるものの一向に姿が見つかりません。

ギウは何とか回復しますが、ギジョンが帰らぬ人となりました。

ギウは山の頂上から、パク一家を眺めるのが日課になっていました。

現在ではドイツ人の一家が暮らしているようです。

街灯に目を向けると、不自然に点滅しています。

調べるとモールス信号のようです。

ギテクは地下からスイッチを操作し助けを求めていたのです。

ギウはいつか金持ちになって家を買い、父を助けることを夢見るのでした。

『パラサイト 半地下の家族』大事なポイント

半地下と韓国の経済状況

半地下に住むというのは、映画の中だけの大げさな表現ではなく、現在の韓国では実際に36万世帯が半地下に住んでいます。

キム一家が住む半地下の家は、そもそも北朝鮮からの核攻撃に備えるためのシェルターとして造られたものでした。

貧富の差が大きくなり始めた近年の韓国は、最低賃金を大幅に上げました。

結果、中小企業がつぶれ失業者が増え続けています。

そんな溢れかえった失業者向けにシェルターを賃貸物件として貸し出しているのです。

しかし下水管よりも低い位置にあるため必然的に家の中で一番高いところはトイレとなり、文字通り便器以下の生活となります。

日があたらないためカビ臭く、ゴキブリが大量に繁殖しているのです。

水石を手に入れたギウはなぜ上昇を夢見たのか?

水石とは簡単に説明すると鑑賞用の石です。

ギウがもらった水石は比較的大きなものですが、その石の中には森や川や太陽の光といった自然が抽象的に表現されています。

日の当たらない家に住むキム一家には全く縁のないものです。

一方でパク一家の家には庭には緑があふれ、部屋の中にも光がふんだんに入り込みます。

この映画の中での水石は、自然を感じる生活ができているパク一家を表現しているのです。

ギウは水石を手に入れた瞬間、自然あふれる生活を夢見たのです。

ギウは父が隠れる家を絶対に買うことはできない

ラストで父ギテクがパク家の豪邸の地下に身を潜めていると知ったギウ。

近い未来、身なりを整え金持ちになったギウが豪邸を買うことでギテクを救いだすというシーンが流れますが、あれはギウによる願望です。

そして、このラストのシーンはギウは絶対に豪邸を買うことができないという皮肉として描かれています。

『パラサイト 半地下の家族』のテーマは貧富の差です。

頑張った分だけ金持ちになるというのはとてもいいことです。

怠けた人が貧乏になることも仕方がないことです。

しかし、金持ちの家庭に生まれた子どもはその財力を活かしさらに幸福になり、貧乏の家庭に生まれた子供はチャンスがあまり回ってきません。

韓国ではこの繰り返しで貧富の差がどんどん広がっています。

“ジョーダン・ピール”監督の『アス(Us)』、日本でも“是枝裕和”監督が『万引き家族』で同じテーマを描いています。

韓国だけではなく貧富の差は世界中で注目すべき問題なのかもしれません。

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下にはさらに下がいた!家の構造で魅せる物語

キム一家が住む家は半地下なので最底辺ではありません。

金持ちであるパク一家は高台に住み、最も貧乏な家政婦の夫は完全な地下に住んでいます。

住んでいる家の高さがそのまま階級になっているという非常に面白い表現です。

しかし、地下に住む人間たちは協力するわけではなく、パク家に寄生するという席を奪い合い争います。

高台から流れ込んだ大雨は半地下の家を壊滅させてしまいます。

そんな金持ちが優遇されている韓国の状況が描かれているのです。



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